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中国との国境に接する北朝鮮・両江道(リャンガンド)の金亨稷(キムヒョンジク)郡で先月22日、男女2人が国境を流れる鴨緑江を渡って脱北した事件は、デイリーNKジャパンでも既報のとおりだ。

道内には移動制限など厳重な警戒態勢が敷かれていたが、結局2人は逮捕されてしまった。現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

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脱北したと思われていた2人は、金亨稷郡内の山にこもり、あちこちを転々としていたが、今月3日に保衛部(秘密警察)の捜索隊に見つかり、逮捕された。

これを受けて両江道保衛局は、道内の市、郡の保衛部に「国境を越えようと試み逃走した者を捕まえれば、すぐに上部機関に報告し、両江道保衛局に身柄を移送せよ」との指示を下した。

かつては地元の保衛部で2〜3日の間、勾留した上で、場合によっては両江道保衛局に身柄を移していたが、今回の指示により、脱北を試みて逮捕された者は、道保衛局に即刻移送されることになった。これは脱北事件を非常に重く見ているということだ。

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身柄を移された2人だが、これから数カ月に及ぶ取り調べと予審(起訴前の証拠固め)をされる。拷問を伴うことは言うまでもない。

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地元住民は、2人が少なくとも無期懲役刑、最悪の場合は管理所(政治犯収容所)送りになるだろうと噂している。中には、「そのまま(地元で)暮らしておけばよかったものを、よりによって今みたいな時期に動くなんて」「死を覚悟して(脱北を)試みたのなら、捕まらずに逃げおおせたらよかったのに」などと2人のタイミングの悪さ、やり方の稚拙さを指摘する人もいたという。

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金亨稷郡は国境の川に面しており、地元民は、コロナ前は様々な手段を使って国境を超え、密輸を行っていた。一方で、2人の出身地の豊西(プンソ)郡は内陸にあり、住民は国境に近づくことすら難しい。金亨稷郡の人々ですら「今みたいな時期」というほど国境警備が強化されているときに、越境を試みるのはあまりにも無謀だったということだろう。

なお、2人は金亨稷郡に住む知人を訪ねているが、他人の家に宿泊する際に必要な登録を行っていなかったことが明らかになっている。事件をきっかけに、ゆるくなっていた宿泊検閲(検査)が再び強化されたと情報筋は伝えている。

この知人が所属する人民班(町内会)の班長は、外部の人間が入ってきたことすら把握していなかったとして分駐所(派出所)に呼び出され、批判書を書かされる処分を受けた。また、地域駐在の安全員(警察官)と保衛員(秘密警察)も脱北未遂事件発生の責任を取らされ、上級機関で批判に晒されており、何らかの処分を受けるだろうと噂されている。

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一方、道内に敷かれていた移動制限は、2人の逮捕に伴って解除された。

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