北朝鮮兵士と女子高生「愛の逃避行」の悲しい結末

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北朝鮮と中国の国境を流れる豆満江(トゥマンガン)。中流でも川幅は数十メートル、上流に至っては数メートルしかないところもあり、冬には川面が氷結することから、密輸や脱北が盛んに行われてきた。

しかし、近年の国境警備の強化で、銃撃を受けるなどの不慮の事故で命を落とす人も少なくない。

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今回、咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えてきたのは、将来に絶望し川を渡って脱北しようとした女子高生と、密輸や脱北を取り締まる立場にある国境警備隊所属の兵士との悲しい愛の逃避行だ。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋によると、事故が起きたのは先月20日のこと。茂山(ムサン)郡を流れる豆満江の氷の上に人影が現れた。ひとりは高等中学校(高校)に通う少女、もうひとりは20代前半の国境警備隊員の兵士。ふたりは恋仲にあった。

少女は卒業の進路について悩んでいた。茂山では学校を卒業すると鉱山に配置されるのが一般的だが、鉱山で働くことになれば苦労するかもしれないとの心配を抱えていた。

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茂山は北朝鮮有数の鉄鉱山を擁し、市民は比較的豊かな暮らしができていたが、国際社会の制裁で輸出ができなくなったことで、市民生活は困窮。将来の展望が開けないこともあってか、少女はいつしか、目の前の川を渡って脱北することを考えるようになった。

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そしてふたりは、警備隊員の勤務時間に合わせて川に入った。極寒で凍結しているとは言え、ところどころに氷の薄いところがあるため、体重の軽い少女が足元を確認しつつ慎重に川を渡り、警備隊員は後ろから着いて行った。

ところが氷が割れてしまい、警備隊員は川に落ちてしまった。少女はその場で泣きじゃくるばかりで、どうすることもできず、やがて警備隊員は流されてしまった。

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氷に穴が空いたのを確認した別の国境警備隊員が、脱北を企てる者がいるものがいることを察知し、急いで哨所(監視塔)に連絡をとった。複数の隊員が現場に急行し、泣きながら川から這い上がる少女を発見、その場で逮捕した。

国境警備隊指揮部は、当該隊員が少女の甘言に騙されて脱北しようとして川に流されたというストーリーに仕立て上げようとしている。また、同僚たちは、彼の勤務態度が他の隊員より真面目で、間違いを起こすような人物ではないとかばっている。いずれも、連帯責任を取らされることを避けるためだ。

少女の処遇について、情報筋は触れていない。逮捕された脱北者はただでさえ過酷な処罰を受けるが、コロナ対策の防疫規定まで破ったことから、ただでは済まされないだろう。

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流されてしまった隊員の安否はわかっていない。捜索に人員を割く余裕がなく、春になって氷が溶ければ遺体が見つかるだろうと見ている。

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