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北朝鮮の、中国との国境に接する地域は、当局にとって頭痛の種だ。ありとあらゆる違法行為が行われる上に、当局が最も嫌う、外部情報の流入と、国内情報の流出が起こる地点だからだ。

地元当局は、中国キャリアの携帯電話を使っている市民に対して、「自首」を呼びかけを行ったが、市民の反応は冷淡そのものだった。両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

両江道保衛局(秘密警察)の保衛員と、地域担当の保衛員は、恵山(ヘサン)市内の人民班(町内会)にやってきて会議を開いた。その内容とは次のようなものだった。

「国は中国の携帯電話を隠し持ち使用する問題を指摘し続けているが、依然として国内には中国の携帯電話を使って外部と通話する人間のクズがいる。敵どもが投げ込む少額のカネに目がくらみ、情報を流出させるのは社会主義祖国を裏切る裏切り者の道を知らないままに歩むものだ」

そして、中国キャリアの携帯電話を持っていたり、一回でも使ったことがあるなら自首せよ、今からでも保衛員を訪ねて自首、自白すれば罪を問わないが、使い続ければ血の涙を流すことになるだろうと警告した。

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捕まってから悔い改めても手遅れであり、そうなれば本人のみならず家族にまで累が及ぶとも告げた。家族もろとも奥地の農村に追放する処罰を受けるということだ。最悪の場合は管理所(政治犯収容所)行きや処刑も考えられる。

(参考記事:北朝鮮の「地の果て」に連れ出された、ある男性の悲惨な運命

しかし、人民班会議で保衛員の話を聞いた人々の反応は、冷淡なものだった。

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「コロナ禍で中国の携帯電話ユーザーがいなければ、さらなる苦境に直面していただろう」(住民)

コロナ対策で国境が封鎖された状況下でも、厳しい取り締まりの隙を付いて、中国の携帯電話を使って密輸をする人々がいた。そんな人がいたおかげで餓死を逃れることができたうえに、外部世界の貴重な情報も得られたということだ。

一方で国は、食糧難には一切の対策を行わず、携帯電話の取り締まりや国境警備の強化にばかり気を使う。そんな国のやり方に不満をためこんできたる市民は、多少の脅迫や懐柔に応じなくなっている。

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過去にも携帯電話使用者の「自首キャンペーン」が行われたことがあるが、バカ正直に応じた人は、奥地への追放の憂き目に遭っている。

(参考記事:正直者は「奥地」に追放される北朝鮮の現実