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北朝鮮の電力事情の悪さは今に始まったことではない。旧共産圏からの援助が途絶え、日本の植民地時代から使っていた発電設備の更新ができなくなった1990年年代以降、著しく悪化した。

地域によっては数カ月に渡って電気が止まったり、列車がまともに運行されなかったりなど、深刻な影響が出た。今は一時期よりマシになったものの、劣悪であることには変わりない。電気が止まるということは、ポンプを使って供給する水道にも影響が及ぶ。

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咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋は、清津(チョンジン)市内で最近、電気と水道がまともに供給されなくなり、市民生活に影響が出ていると伝えた。

以前から円滑な供給は行われていなかったが、6月に入ってからさらに悪化。電気は長くても1日2〜30分程度しか供給されなくなり、丸一日供給されないこともしばしば発生。水道水は出ても10日に1日ほどだという。

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こんな状況にもかかわらず、当局は電気料金、水道料金の徴収だけはきちんと行う。

市内の青岩(チョンアム)区域のある人民班(町内会)では、人民班長が各世帯を回って、供給もされない電気と水道の料金を徴収している。当然、住民は不満たらたらで、人民班長に怒りをぶつける。

「電気をどれだけ供給して料金を徴収しようというのか。1カ月のうち半分ほども電灯が灯るならまあそんなものかと思うが、(現状で)そんなカネはない。通報するなり何なりと勝手にやってくれ」(ある住民)

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当局は、水道ポンプに電気が供給されず稼働できないため、その代わりにガソリンを使ってポンプを動かすので、その代金を出せと要求しているのだ。

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あまりにも劣悪なインフラに、市民生活には深刻な影響が出ているが、当局は料金の徴収にばかり熱心で、施設の維持、管理、正常な稼働には関心がないようだ。

情報筋は、北朝鮮国民の間には、国がインフラに関して何かをしてくれるという期待そのものがないと語る。

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「ここ(北朝鮮)の人々はコメから始まって電気、水など何から何まで自主的に解決している。それなのに、国はまともに供給もしないくせして、料金を事細かく取ろうとするから、住民の不満が高まるしかない」

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タワマンやダム、病院、工場など、北朝鮮は「見栄え」のする建造物に莫大な予算を投下し、目に見えないインフラなどは疎かにする傾向が強く、メンテナンスは、地方政府や住民に丸投げする。それでおいて、ノルマを達成せよだの、料金を払えだのうるさく言うのだ。