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経済産業省は21日、先日の福島沖の地震で火力発電所が停止したところに、寒さが影響し、電力が足りなくなる恐れがあるとして、東京電力管内の1都8県に「電力需給逼迫警報」を出して、節電を呼びかけた。

一方、北朝鮮では非常に厳しい電力不足が1990年代から続いている。一時は鉄道の運行に重大な支障が出るほど停電が頻発。最近ではかなり改善したとは言われているものの、一般家庭には電気がまともに供給されないことが多く、北朝鮮の人々は自宅にソーラーパネルを設置するなど電気を「自力更生」している。

(参考記事:北朝鮮で鉄道運行が正常化…「東京ー岡山」の距離を24時間

経済的に余裕のある人は、配電担当者にワイロを掴ませ、軍や工場に供給する電気を都合してもらうという手法を使っているが、取り締まりも行われている。

両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋は、大紅湍(テホンダン)郡で9日、電気を横流しして私腹を肥やしていた者に対する公開裁判が開かれたと伝えた。

事の発端は「ごく当たり前」のことだった。ある中学生が友人の家に遊びに行ったのだが、その家には24時間電気が供給されていたのだ。他の国なら当たり前のことだが、電力供給が慢性的に不足している北朝鮮、中でも大紅湍のような僻地ではありえないことなのだ。その中学生は、安全員(警察官)である父親にそのことを話した。

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この話を元に当局は、ジャガイモでんぷん工場と軍部隊周辺の住宅地で10日間に渡って集中検閲(調査)を行った。すると、24時間電気が供給されている家が複数見つかった。

(参考記事:「金正恩ニュース」の時間帯に停電、発電所員ら絶体絶命

いずれもジャガイモでんぷん工場や軍部隊の配電担当者に毎年300ドル(約3万6000円)もの「料金」を支払って、工場や軍に割り当てられた電気を、7年間にわたって横流ししてもらっていた。中には、コロナ鎖国で景気が悪化する中、「料金」を500ドル(約6万円)に値上げすると一方的に通知し、住民との間でけんかになった者もいたとのことだ。

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電気監督イルクン(幹部)、機関、企業所の責任イルクン100人、一般住民が見守る中で公開裁判にかけられた6人だが、「国の経済が苦しい中で、力のある者は個人の利益のために国の経済がどうなろうと気にせず、国の電気を勝手に操作していた」と厳しい非難が浴びせかけられた上で、身柄が両江道安全局(県警本部)に引き渡された。

なお、6人にどのような判決が下されたか、また、ワイロを払って電気を使っていた側に対して何らかの処分が下されたのかについて、情報筋は言及していない。

裁判を見守っていた住民の間からは、6人に対する批判ではなく、電気を自由に使えていた人々に対して羨む声や国を批判する声が聞かれたという。

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「カネを渡してでも電気を思いっきり使うのが願いだ」
「どれほど電気がほしければ、巨額のカネを渡していたのだろう」
「統制ばかりするのではなく、電気を供給するのが国のすべきことだ」

ある住民は、病院で手術を受けることになったが、手術に必要な電気をカネを出して買わなければならないことになった実例を挙げて、住民にとって最も必須の電気の問題一つ解決できない国がどこにあるのかを、国を批判した。

(参考記事:金正恩氏から「感謝状」を受けた幹部、電気の横流しで逮捕