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北朝鮮北部、中国との国境に接した平安北道(ピョンアンブクト)新義州(シニジュ)に、教員大学が建設された。国営の朝鮮中央通信は、次のように報じている。

新義州教員大学と道科学技術図書館、学生服工場を新しく建設、竣工式
平安北道で

【平壌6月13日発朝鮮中央通信】平安北道で、新義州教員大学と道科学技術図書館、学生服工場を新しく建設した。
複数の重要建設が完工したので、教師後進の育成と次世代の教育、全人民科学技術人材化の実現において飛躍を遂げ、生徒・学生に季節ごとに新しい形態の制服を適時に供給することのできるもう一つの物質的土台が築かれた。

敬愛する金正恩総書記の賢明な指導によって建設された新義州教員大学、道科学技術図書館、学生服工場の竣工(しゅんこう)式が11、12の両日に行われた。
(後略)

幼稚園の保育士や小学校の教師を養成する3年制の教員大学は、各道に設置されている。新義州には市内の平和洞(ピョンファドン)に1947年、開校したが、建物の老朽化により、本部洞(ポンブドン)に新築移転した。

しかし、学生からは不満の声が上がっている。一体どういうことなのか。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

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現地の情報筋は、新義州教員大学が4階建ての老朽化した建物から、7階建ての本館、寄宿舎、体育館からなる新しい建物に移転したと伝えた。建設を進めたのは平安北道建設事業所で、青年突撃隊(半強制の建設ボランティア)や地元住民が工事に動員された。

国営メディアが配信した竣工式の写真には、天然芝のグラウンドに並ぶ制服姿の男女学生が写っているが、情報筋によるとこの芝生、中国から輸入したものだという。

北朝鮮では現在、ポリッコゲ(春窮)の最終段階にあり、各地で餓死する人が出るなど食糧事情が極めて逼迫している。新義州には、ロシアから輸入した小麦粉が出回るようになり、若干改善したようだが、そもそも小麦粉はコメやトウモロコシより高く、庶民の手には届かない。

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そんな中にあっても、ともかく見栄えを気にする北朝鮮は、貴重な外貨を使って芝生を輸入したというのだ。北朝鮮の優先順位が激しく間違っているのは今に始まったことではないが、そのせいで国民はひどく苦労させられている。

(参考記事:餓死者発生の北朝鮮に大量流通し始めた「ロシア産小麦粉」

芝生の世話に追われる学生たちは、本分である学業に支障が出るという本末転倒の状況になっている。

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大学当局は、芝生を枯れさせないように学生たちを動員して、水の入った重いバケツを持たせて水やりをさせている。広いグラウンドの芝生にまんべんなく水やりをするには、大変な労力を要する。疲労困憊した彼らは、学業に身が入らないという。

なぜ、こんな面倒な作業を学生に強いるのか。それは、金正恩総書記に関係する。

別の情報筋は、朝鮮労働党新義州市委員会の幹部から聞いた話として、大学の竣工式は、金正恩氏が参加する「1号行事」として行われる予定だったと明らかにした。

上部機関の朝鮮労働党平安北道委員会は、行事を飾るために、急きょ中国から芝生を輸入して植えさせた。他の国では理解しがたいことだが、北朝鮮においては金正恩氏など金氏一家に関連することは何事にも優先する。

事故や災害のときに、命がけで彼らの肖像画を守ったことが美談になるお国柄だ。国民の生命や財産より、肖像画という紙切れの方が大切に扱われるほどなのだが、本人が参加する「1号行事」となれば、最大限に盛大に行うことが求められる。費用や努力をケチろうものなら、政治犯扱いされかねない。

(参考記事:「将軍様の肖像画を命がけで守れ」命令にウンザリする北朝鮮国民

だが、どういうわけか竣工式に金正恩氏は参加しなかった。それでも、金正恩氏のために造成された芝生を枯らせれば、その権威に傷をつけたとみなされ、どういう目に遭わされるかわからない。内心、無駄だとわかっていても、命を守るためには水やりをやめるわけにはいかないのだ。それが、北朝鮮という体制なのだ。