北朝鮮当局が、「おかしな名前は改名せよ」との指示を出したのは昨年9月。その後の今年1月の最高人民会議(国会に相当)第14期第8回会議で採択された「平壌文化語保護法」では、韓国風の名前をつけることを禁じている。
これを受けて、社会安全省(警察庁)は、韓国風の名前をフィルタリングして、北朝鮮らしい名前に変えるよう指示を下した。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。
(参考記事:「おかしな名前は変えろ」トンデモ命令に北朝鮮国民も反発)慈江道(チャガンド)の情報筋は、先月27日に、「時代の要求に合う朝鮮式の名前を子孫に残そう」というタイトルで幹部向けの講演会が開かれたと伝えた。
先月の第4週から朝の読報の時間(労働新聞を読む時間)にも、故金日成主席、故金正日総書記など偉人たちをお手本にして、次世代に恥ずかしくないように子どもたちに誇らしい名前をつけるべきという思想教育が複数回行われた。
その場では、実際に両氏が名付け親となった事例が紹介された。「テホン」「ホンダン」というジャガイモ革命で有名な大紅湍(テホンダン)から取った名前、金正日氏がある女の子に付けた「チンダルレ」(ツツジ)という名前、さらに千里馬(チョルリマ)通り、楽園通り、青春通りなどの通りの名前も模範事例として挙げられた。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面両江道(リャンガンド)の情報筋も、南朝鮮(韓国)風の名前をフィルタリングせよという社会安全省の指示が先月中旬に道内の市、郡の安全部(警察署)住民登録課、人民委員会(市役所)の事務処に伝達されたと伝えられた。
好ましくない名前として挙げられたのは「タウン」「スルギ」「イェソル」など。いずれも韓流ドラマや映画の登場人物の名前のようで、槍玉に上げられた名前は今後子どもに付けてはならないということだ。
もしそのような名前で子どもの出生届を出そうという親がいれば、「ヒョソン」「ヒョシム」といった北朝鮮風の名前に変えるよう誘導せよとの内容も含まれていたという。いずれも漢字表記は不明だが、ヒョソンは孝星、暁星、孝誠などが考えられる。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面(参考記事:「韓国の言葉遣いをしたら公開処刑」北朝鮮新法の恐るべき内容)
北朝鮮で一般的な名前は、男性の場合は「チョル」(徹、鉄など)が入るもの、女性は「オク」(玉)や「ヨン」(英)が入るものだが、韓国では中高年の名前であるとの印象が持たれるせいか、脱北して韓国に定住する若者の中には、このような名前を改名する人もいるという。金正恩氏や金正日氏により「ホンダン」「チンダルレ」などと命名された人々も、韓国へ行ったら改名せずには生きていけないかもしれない。
また、プロパガンダにおあつらえ向きの名前をつける親もいる。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面2005年までに9人の子どもを出産したソ・ヒャンウォルさんは、4人の息子には「決死擁護」から1文字ずつ、3人の娘には「総爆弾」から1文字ずつ取った名前を付け、もう1人の息子には「先軍」、9番目の娘には「革命」と名付けたとして、国営メディアで大きく取り上げられた。
毒親からチョンビョル、ポクピョル、タンビョルという北朝鮮式キラキラネームを付けられた9人の子どもたちだが、その後の動向は報じられおらず、今はどこで何をしているかは不明だ。