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北朝鮮の小中高校の教師の月給は、4000北朝鮮ウォン(約64円)。平均的な4人家族の1カ月の生活費が50万北朝鮮ウォン(約8000円)であることを考えると、あまりにも非現実的な薄給だ。

これは、住宅から食料品に至るまですべてが配給でもらえて、現金がさほど必要なかった1980年代以前の名残である。金正日時代に引き上げが行われたものの、焼け石に水。結局、市場で商売をしたり、家庭教師をしたりして、現金収入を得なければ生きていけない。

しかし、当局はこれを好ましく思っていないようだ。黄海北道(ファンヘブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

沙里院(サリウォン)市教育部は先月28日、市内のすべての教育関係者を集め、小学校と初級中学校(中学校)、高級中学校(高校)において、朝鮮労働党の方針通りの教育が行われているかを点検する事業総和(評価)を行った。

北朝鮮の学校教師は随時、級数資格試験(昇進試験)を受けることになっているが、あまり積極的に受験しようとしない問題が指摘された。これは、児童・生徒数の減少に伴う現象だ。教師という職業に将来性がないと考えているのだろう。

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市教育部は、たとえ教え子が1人であっても、教師は級数資格試験を内閣教育委員会が示したとおりに無条件で受けなければならないとし、試験の結果、不合格となった教師をリストアップし、夏休み期間中に講習に参加するよう指示した。

また、児童・生徒の数が減ったことで、「教員革命家」であることを忘却し、商売に熱心になっているとも指摘した。

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市教育部は、朝鮮労働党が配給を全く行っていないわけでもないのに、一部の教員は変装までして商売を行っていると批判。今後、同様の行為が摘発されれば、無条件クビにする、永遠にそそぐことのできない汚名を与える、などと警告した。

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それ以外にも、45分の授業中に児童・生徒に課題を与え、教室を離れて個人的な用事を済ませたり、一度にまとめて授業を行い、無理やり進度を進めたりすることは、教育者としての良心を捨てる行為だとして、国家教育法で罰するとも警告した。

教師たちは「自分たちにも養う家族がいる。わずか数日分の配給しかくれないのに大口を叩き、法的処罰をするなんて、教壇で餓死しろというのか」などと嘆いた。

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教師の商売を禁じる今回の措置だが、実効性があるかは不透明だ。充分な配給を与えるなどの生活対策と並行するならともかく、それを欠いたままでは死刑宣告に等しい。しばらくはおとなしくしているだろうが、ほとぼりが冷めればまた商売を始めるのがオチだろう。

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