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日本や韓国と同様、北朝鮮も少子化による人口減少が深刻化している。脱北者で韓国紙・東亜日報の記者であるチュ・ソンハ氏は、独自に入手した北朝鮮の中央統計局の内部資料に基づき、2005年の2100万人を頂点に人口が減少し始め、2015年には2060万人まで減った報じている。世界保健機関(WHO)の資料では2566万人(2021年7月時点)となっているが、これは大幅に水増しされたものだ。

人口減少に伴い、小学校の学級数が減少していると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じたが、デイリーNKの内部情報筋も同様の情報を伝えてきた。

(参考記事:小学校の学級数も減少…深刻な北朝鮮の少子化

現在、北朝鮮の新婚夫婦の10組に4組は、子どもを作ろうとしないという。その最大の理由は「子どもに苦しみを味わせたくない」というものだ。情報筋の住む町内では、3分の1の世帯にしか子どもがおらず、減る一方だと伝えている。

これにより、学校の学級数が減少している。2010年代中盤まで、農村の小学校には1学年に2クラスあり60人ほどが在籍していたが、今では1クラス25人になってしまったという。中には20人しかおらず、1学年2クラスを維持するために、10人ずつに分けた学校もあるとのことだ。

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小学校に通う児童の生徒の減少は、教師の生活にも影響を与えている。

農村部の小学校の場合、生徒が少なくなりクラスが1つに減らされたため、教師は午前中だけ学校に出勤して、午後は市場に出て商売に励む。以前から生活費を賄うために市場で商売をしていた教師は少なくないが、児童減少に伴い、授業以外の仕事も減ってしまったため、むしろ商売が本業のようになっているという。

当局は「子どもを多く産むことが愛国であり、母性英雄」だなどという内容の思想教育を繰り返している。しかし、そんなものが効果を生むはずがない。

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福祉システムが崩壊し、三つ子のような特別な場合を除けば、かつて国家が行っていたような育児支援が受けられなくなったため、女性たちは出産を避けようとするのだ。

(参考記事:金正恩の異次元過ぎる「子作り対策」にのけぞる女性たち

児童の数が減れば、教育水準を維持するために、学校の統廃合の話も出てきそうなものだが、当局は非常に消極的だ。人口減少は都市部より農村や島しょ部の方が深刻であるため、もし統廃合に踏み切れば、遠すぎて学校に通えない児童が続出することが目に見えているからだ。諸外国ならスクールバスの運行を検討しそうだが、ガソリン不足の深刻な北朝鮮では考えもつかないのだ。

情報筋が伝えてきたのは農村部の話だが、許可なく引っ越しができないという法を破って、相対的に豊かな都市部に逃げる人が少なくないことも、人口減少に関連していると思われる。

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その穴埋めに、都市在住の若い男性を農村や炭鉱に送り込み、女性と結婚させて定住させ、子どもを産ませるという政策が進められている。しかし、あまりに劣悪な環境に耐えきれず、逃げ帰る人が少なくないため、当局が期待するような効果は上がっていないようだ。

(参考記事:北朝鮮「陸の孤島」で繰り広げられる“女性確保”の不可能な作戦

北朝鮮が取り得る少子化対策としては、国営企業の給与水準の現実化、育児支援、教育支援、税金外の負担禁止の徹底などが考えられるが、それを支えるだけの財政的裏付けがないため、思想教育と強権的な行政措置しかできることはないようだ。

そればかりか、市場で儲けて経済的な余裕がある女性が、ベビーシッターを雇って育児を任せることについても、「腐り切った資本主義の古ぼけた思想残滓の余毒」などと批判する始末だ。こんな非現実的であべこべなメッセージが出される状況で、積極的に出産・育児をしようとする女性は、なかなか現れないだろう。

(参考記事:「腐り切った思想の毒」金正恩命令に北朝鮮の母親たちが反発