保育士が園児の弁当を「つまみ食い」…北朝鮮の食糧難が深刻

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3年続いた極端なゼロコロナ政策が若干緩和され、限定的ながら輸入が認められるようになった北朝鮮。しかし、未だに食糧難が解消するほど食糧が輸入されているわけではないようだ。それにもともと今の時期は、前年の蓄えが底をつく春窮期。例年にもまして苦しい飢えとの闘いを繰り広げていることだろう。

そんな中、幼稚園の保育士はこんな方法で食糧を確保している。咸鏡南道(ハムギョンナムド)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

清津(チョンジン)市内の幼稚園に勤める保育士たちは、食糧難で昼食用の弁当を用意することができない。そこで、園児たちの弁当からそれぞれ3分の1を取って、自分の食事にしているという。

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コロナ前、保育士には断続的に10日分の食糧が配給され、園児の父母から「よく面倒を見てやってほしい」と渡されたつけとどけ(ワイロ)で、生活が成り立っていた。ところが、今では食糧配給は全くなくなり、親たちも生活苦でワイロをねん出する余裕がなく、生活が行き詰まってしまった。

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そこで、上述のように園児の弁当を少しずつ取っているのだ。また、「こんなものが食べたい」などと、親に要求することすらある。

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市内の水南(スナム)区域のある幼稚園では、1カ月に1回、「お弁当評価戦」なるイベントを開催して、親から非難を買っている。ただでさえ苦しい生活の中、子どもに昼食用の弁当を持たせることで精一杯なのに、このイベントのせいで、子どもたちは「もっと美味しそうなものを入れてほしい」と駄々をこねたり、幼稚園に行くのを嫌がったりしている。

お弁当の中身で競わされた子どもたちは、心に傷を負ってしまうのだ。

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「子どもたちが保育士の顔色を見たり、保育士におべっかを使ったりする現実に、親たちは悲しんでいる」(情報筋)

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だが、問題の根本は保育士の食糧問題にある。贅沢ではなくても、それなりの量の食糧を配給すれば、保育士が園児の弁当に手を出すことはない。

「本当に子どもたちを『国の王様』と考えてまともに教育するのなら、保育士の食糧問題を急いで解決すべきだ」(情報筋)

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