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北朝鮮は2012年、「全般的12年制義務教育を実施することについて」を発表した。幼稚園、小学校、初級中学校、高級中学校の12年間の教育を全国すべての地域で無料で実施するもので、2014年から全面的な実施となった。

だが、昨今の経済難の中で、学校に通えない子どもも少なくない。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

平安南道(ピョンアンナムド)の住民は、旧正月を控えた時期に、徳川(トクチョン)市内では朝から晩までミネラルウォーターを売り歩く子どもたちの姿が目についた、と伝えた。

子どもたちはコチェビ(ストリート・チルドレン)ではなく、親もいて家もあるが、父親の勤める工場からは月給も配給も出ず、一家を経済的に支えてきた母親の市場での商売も芳しくない。旧正月だというのに、ごちそうはおろか、白飯にすらありつけないほど追い込まれた家の子どもは、学校に行かず、水を売り歩くのだという。

彼らは3〜4人で1組になって、徳川食料加工工場の裏山にある泉に行って、大きなボトルに水を入れ、背負い子やリアカーで市内まで運ぶ。そして、マンションの立ち並ぶ地域で売り歩く。

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値段は、一般の湧き水なら300北朝鮮ウォンから500北朝鮮ウォン、質の良い湧き水なら1000北朝鮮ウォンだ(いずれも1リットル、1000北朝鮮ウォンは約16円)。そうやって1日に10リットルを売り、5000北朝鮮ウォンから1万北朝鮮ウォンを手にする。コメ1〜2キロが買える額だ。

徳川の北に隣接する球場(クジャン)郡でも、水を売り歩く子どもたちの姿が目に入ると現地の情報筋が伝えている。情報筋の住む邑(郡の中心地)だけでも10人以上いるとのことだ。

水を買うという人がいれば、子どもたちはマンションの7階でも、大きなボトルを背負って階段を登り配達するという。現地では「旧正月に湧き水を飲めば1年の運勢が開けて商売繁盛となる」と言われているだけあり、この時期の水売りはかなり儲かるそうだ。

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極寒の中でも汗を流しつつ、重いボトルを運ぶ子どもたちを哀れに思い、「学校に行って勉強したほうがいいんじゃないか」と声をかける人もいるが、「勉強したくても貧しいからできない」「そんなこと言うなら水買って」と返事が返ってくるという。

その様子を見た市民たちは「勉強して未来のための準備すべき子どもたちなのに、家族の生活のために水売りをしているのを見ると、国の将来が心配になる」と、経済難、食糧難に対する国の無策を一様に批判するとのことだ。

そもそも、北朝鮮の「教育は無償」という制度は建前に過ぎない。学校で必要になる様々な用具を買えず、供出を求められる金品を出せないことから、学校に行けなくなる子どもはコロナ前から少なからず存在したが、最近になってさらに増えたということだ。

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(参考記事:北朝鮮、無償教育のはずが教育費払えず退学続出の謎

その裏で富裕層は、子どもを少年団大会の代表に選出させるために、関係者にカネをばらまく。平等を謳いながら激しい格差社会と化しているのが北朝鮮の現実だ。

(参考記事:金正恩の「模範的な子ども達」のどす黒い内幕