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かつては中国との貿易で活気があった北朝鮮北部の両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)。その賑わいは、極端なゼロコロナ政策による国境封鎖、貿易停止により消え去り、残されたのは、貧困と飢餓だけだ。

人々は、日々の糧を得るために必死になっている。恵山市民のサバイバル法について、現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

(参考記事:「もう生き残れる者などいない」飢えに苦しむ北朝鮮国民の肉声

最近になって、月に50元(約970円)から100元(約1940円)の家賃を受け取って家を貸し、自分たちは納戸で暮らす人々が現れている。

それぞれ現在の恵山のレートで計算すると、コメなら10キロから20キロ、トウモロコシなら18キロから36キロに相当する額だ。これくらいあれば、腹一杯は食べられなくとも、粥をすすり餓死することはないという。「庇(ひさし)を貸して母屋を取られる」ならぬ「母屋貸して庇で暮らす」ということだ。

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ある人民班(町内会)では、このやり方で2世帯がなんとかやりくりしているという。ちなみに、ひとつの人民班には20ほどの世帯が所属する。

かつて、生活に行き詰まった人々は、家を売り払ってそのカネで糊口をしのいでいた。コロナ前なら2万元(約38万9000円)以上の売値が付いた。市場の周辺にある家なら、商人の荷物の預り賃だけでもかなりの儲けになったからだ。

しかし、コロナ不況で家が売れなくなり、賃貸しに切り替えたものの、家賃相場も以前の半分から4分の1まで下がってしまった。納戸で暮らすと言っても、野宿とほとんど変わらない。

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「家を貸し出せた人は少なくとも餓死することはないが、それすらできなかった人は本当に苦しい状況に置かれている。それなのに国には何の対策もなく、こんな事情を知ろうともせず、住民の不満は非常に強い」(情報筋)

とは言え、まだ市内で暮らしていける人はまだマシな方だ。家を売り払い、山に入って掘っ立て小屋を建て、狩りをしたり薬草や木の実を採取したり畑を耕したりして暮らしている人もいる。

(参考記事:生活苦に喘ぐ北朝鮮の人々が取った選択は「この世とおさらば」

自分たちの統制下から外れる住民の増加を懸念した当局は、山ごもりする人の所在把握に努めているが、面積のほとんどを山地が占める両江道だけあり、探し当てるのは困難を極める。中には、誰にも看取られずに最期を迎える人たちもいる。

(参考記事:「ポツンと一軒家」に住んでいた北朝鮮一家の悲しい最期