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昨年の北朝鮮と中国の貿易額は10億ドル(約1300億円)を超え、2021年より大幅に増加した。しかし、コロナ前の2019年と比較すると37%にとどまっている。

北朝鮮は、新型コロナウイルスの感染が全世界的な広がりを見せつつあった2020年1月に国境を完全に閉鎖した。中国依存度が極めて高い北朝鮮経済は大打撃を受けた。

中でも、貿易に携わる人々は深刻な苦境に陥った。国境沿いの地域に数多くいた密輸業者はもちろんのこと、輸出入許可権(ワック)を与えられて合法的な貿易に携わってきた貿易会社も、国主導のごく少数の権力機関所属のものを除けば、貿易ができなくなってしまった。

北朝鮮は昨年2月の最高人民会議(国会に相当)第14期第6回会議で、国家唯一貿易制度への回帰を宣言し、貿易会社の統廃合に乗り出した。地方の機関に所属する会社や、実績のかんばしくない貿易会社などを内閣や権力機関所属の大手貿易会社の傘下に収めた。

現在、貿易を行うことができるのは、国主導の貿易を担う大手や、そこに資金を提供できる企業、中国に信頼できるパートナーのいる企業に限られている。貿易に対する国の統制が強まった今、利益を出すには相当の努力が必要となっている。

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デイリーNKは、中国との貿易に携わっている北朝鮮の貿易関係者とのインタビューを行い、2023年の展望を聞いた。

ー コロナ前と比べて北朝鮮国内での貿易関係者の評価や社会的地位は変わった?

小さな貿易機関にいた人々は完全に職を失い、大手に編入された人々も、実績が上げられなければ辞めざるを得ない恐怖と闘っている。リストラを経て貿易を続けられている人は、国と貿易に必要な人材ということが証明された形だ。ある面、彼らの社会的地位は少し高まったと言えよう。

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カネがなく上層部にワイロを渡せなかったり、中国側のパートナーがしっかりしていなかったりして落とされた人々は新たな職を求めなければならず、実に気の毒だ。

ー 国主導の貿易唯一制度の宣言後、小さな貿易会社は統廃合の対象となり、国が認めるものしか輸入できなくなっているが、そのメリットとデメリットは?

メリットから言うと、国家貿易指導処体制では、国が主導して(輸出入を)行うため、計画(ノルマ)達成に死にものぐるいにならなくても済む。国が承認せず扉を開けなければ取引できない形となったからだ。計画達成ができなくとも、国が認めなかったから達成できなかったということになり、国が貿易会社や業者を批判できない構造となった。

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だが、メリットよりデメリットのほうが遥かに大きい。国主導の貿易のデメリットは、貿易そのもの、経済そのものの後退だ。この小さな国でカネを稼ぐあてがどれほどあろうか。貿易に頼り、輸出入の循環を絶えず拡大させてこそ経済が回る。言い換えると、輸入品が流通する国営商店、市場を活性化して、そこから原動力を得なければならないのに、貿易を統制しているから、その循環が途切れてしまった。

貿易を統制することは、国営商店や市場までも統制することにつながり、人民の生活はむちゃくちゃになってしまった。その一方で、平壌の幹部たちが出入りする高級百貨店や外貨商店には、商品が溢れかえっている。そこで外貨を使わせるのだが、地方の人々のほとんどが、人生に一度たりとも平壌に行けないというのに、非現実的な輸入戦略だ。貿易という循環が破綻すれば、人民の不便と不満が増す他にない。

(参考記事:本腰を入れて市場を潰しにかかる北朝鮮の「計画経済回帰策」

ー 今のような国主導の貿易だけが認められる状況で、貿易業者が儲けを出す方法は?

現金を持って出国して、商品を買い付けて帰国して売りさばけば利益が手元に残る。中国の業者がおまけでくれた商品や、タダで手に入った商品も、北朝鮮国内では高く売れる。国から100ドル(約1万3000円)で輸入できるとの見積もりが出て、90ドル(約1万1700円)で輸入できれば、10ドル(約1300円)が手元に残る。中国の業者は北朝鮮の業者の心情をよく理解していて、値段交渉を持ちかければ少し利益が残るようにしてくれる。

だが、大儲けするには輸出しかない。輸出ができず、輸入ばかりしている現状で、儲けを出すのは非常に難しい。輸出品は中国の業者が指定するもので、国が介入しない限り、言い値で買ってもらえる。そこに利益を上乗せしてもらうのだ。

(参考記事:北朝鮮のタバコ農場、輸出再開に向け大々的な栽培に突入

ー 中国の雰囲気はコロナの感染拡大でよくないが、今年、貿易業者としての望むことは?

多方面に交流のチャンネルが開いてほしい。いつ陸路が再開されるかわからない。(国境が開かれるという様々な噂話は)すべて根拠のない噂に過ぎず、正確な貿易指導指針も出されていない。新義州(シニジュ)経由の陸路を再開させるのが最も重要というのが国の立場だ。

われわれ貿易業者が望むことは、各地域で交流が可能になることだ。国が定めたルートだけで貿易をしていては、その分費用がかさむ。それが問題だ。今のところ、多方面にルートが再開される兆しは見えないが、全方面で貿易ができるようになればいいし、輸入のみならず、輸出もできるようになればいい。国が単位特殊化(特定の機関や企業が利益を独り占めし、国の経済に貢献しない行為)をなくすという、荒唐無稽な計画で、貿易の基盤を無効化したり、行政実務体系を変化させたりしないのが、最も望む点だ。

(参考記事:貿易依存の現実を見ず「自力更生」の妄想を続ける北朝鮮

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