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北朝鮮は先月、記録的な大寒波に襲われた。国営の朝鮮中央テレビは、24日の平壌の最高気温が氷点下15.2度にとどまり、ここ30年で最も厳しい寒波となったと報じた。また北部山間地では、最低気温が氷点下30度以下となった。

中国の中央気象局によると、北朝鮮の両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)と幅数メートルから十数メートルの鴨緑江を挟んで向かい合う、吉林省長白朝鮮族自治県の先月24日の最低気温は、平年を10度下回る氷点下34度を記録した。

北朝鮮の人々の中には、極端なゼロコロナ政策による経済難で暖房用の燃料を充分に確保できないまま、極寒と闘っている人々もいる。

デイリーNKは、中国と国境を接する北部山間地の両江道と慈江道(チャガンド)、北西部の平安北道(ピョンアンブクト)の寒さの厳しい3つの地域に住む住民から、暮らしの様子を聞いた。

(参考記事:「母と息子は凍った部屋で息絶えた」金正恩の失政に批判

ー 先月、大寒波が襲来したが、どんな対策を取った?

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両江道住民(以下A):多くの人が凍傷やしもやけになり苦労している。コロナ禍で商売上がったりで、越冬用の燃料を得るには(緑化政策で禁じられているが)山に入って薪を切り出すしかない。午後6時以降は(コロナ対策で)通行禁止となるので、苦労して山に入って薪を運び出そうとしても捕まったら全部没収される。

一度山に入れば2日はかかるが、その間の食べ物の調達もたいへんだ。生活が苦しく、朝食を家で済ませてから弁当をひとつだけ持って山に入り2日間を耐える。それで帰宅する頃には、空腹と凍傷で半分死んだような状態になる。空腹は味噌汁を飲めば回復するが、凍傷は治療を受けられない。薬を買おうにもそのカネがない。生きること自体が苦痛だ。

平安北道住民(以下B):人々は凍死を避けるため家にこもりきりだった。普通の日なら1日に練炭を2個使うが、先週は6個も使った。7〜8個使った家もある。

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慈江道住民(以下C):女性や子どもは外出しないようにと布置(布告)が出され、暖房をつけて外出しなかった。トイレは家の外にあるが、服を着込んでも寒いので、バケツを土間に置いて用を足した。

(参考記事:「凍死寸前」入院患者に湯たんぽ売ってホクホクの平壌市民

ー 防寒準備は充分?

A:防寒準備はだいたい初冬にするが、今は皆が皆、暮らし向きが楽ではないので、壁の隙間をすべて塞ぐことができず、大きな穴だけ塞いだ。最近のようにとても寒いときには、玄関ドアに毛布などを貼り付けておく。

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B:充分にできている。足りないところはない。

C:足りていない。家も自分自身も(防寒準備が)足りていない。先週勤め先に出勤したら、除雪と凍った水道管を溶かす仕事ばかり延々とやらされた。

(参考記事:擦り切れた防寒服で氷点下30度の極寒に耐える北朝鮮の貧困層

ー 暖房の問題は?

A:市内中心部に住む余裕のある人々は、寒さが訪れる前に薪を充分に確保しているから、温かく過ごしている。生活に余裕のない人々は、その日の儲けでなんとかコメと薪を買い、(暖房を兼ねて)朝夕の2回、飯炊きをして耐えている。

B:公共施設の暖房はボイラーで行っている。一般の民家では石炭を使う鉄製の暖炉で行っている。暖房設備は足りているが(寒さのせいで多くの家で)暖炉が破裂してしまった。補修に必要なパイプや溶接棒を買うにはそれなりにカネがかかるため、大騒ぎになった。

C:革命歴史研究室、会館などの暖房設備が破裂して補修工事中だ。一般の民家では薪や石炭を使って暖房をしているため問題は起きなかった。井戸水が凍らなかったのは幸いだ。

ー 寒波の被害を受けた人に国は補償してくれる?

A:今も昔もそんなものはない。自分で解決しなければならない。国が解決してくれるなんて夢物語だ。

B:そんなものはない。人民班(町内会)で練炭を10個集めて助けてあげた。

C:国は自力更生せよと言うばかりだ。

(参考記事:「毎朝、生き延びたと感じる」氷点下30度の夜を戦う北朝鮮国民

ー 寒波関連の指示はあった?

A:寒くなって風邪をひく人が多い、風邪に気をつけよと言われただけだ。

B:世帯主は、家族の健康管理を行って、凍傷にならないように責任を持って気をつけよという布置が下された。革命歴史研究室の暖房保障事業を単位(職場)、地域の特性に合わせて徹底的に行い、1件たりとも事故を起こしてはならないとの布置もあった。

C:冬休み期間中に7歳から10歳の子どもを不必要に学校に登校させたり動員したりせず、家にいさせろという指示があった。それより上の子どもは、学校や町内の道、銅像、(金氏一家の)現地指導史跡碑などの除雪作業に動員されたが、引率の担任教師には、子どもたちが凍傷にならないように気をつけよとの指示が下された。