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冬の厳しい北朝鮮において、暖房は命に関わる問題だ。秋になると、人々は暖房と炊事に使うための石炭を数トン単位で買い込む。

だが経済難の今、充分な燃料と食べ物を買えず寒さに震えながら命がけで冬を越す人も少なくない。中には寒さのために命を落とす人もいる。

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地方と異なり、首都・平壌は暖房の面において非常に恵まれている。市内中心部ではセントラルヒーティングが行われており、発電所から家々に設置されたラジエーターに温水が送り込まれ、部屋を暖める。しかし、それが止まってしまえば、命の危険にさらされるのは地方と同じだ。

デイリーNK内部情報筋は、市内大同江(テドンガン)区域の軍医大学病院の暖房が止まってしまったと伝えた。

今月3日、最低気温が氷点下15度まで下がったせいで、病院内に設置されたセントラルヒーティングの送水管が破裂してしまった。軍医大学の後方部(供給担当部署)はすぐさま補修工事を始めた。中でも、教授や医師のオフィスがある病棟、学生の寄宿舎などの暖房を優先的に回復させるために全力を尽くした。

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しかし、数週間が経っても依然として暖房は復活せず、医師も学生も入院患者も寒さと闘いながら日々を送っている。寒さに耐えかねた患者の中には、平壌在住の親戚や知人の家に避難する者も出る始末。そのせいで、軍医大学の暖房供給が止まったことが、噂として広まってしまった。

しかし、そんなに都合よく親戚や知人がいる患者はごく一部だ。今回の事態を商機と見た大学病院の近隣に住む住民は、自宅でプラスチック製の湯たんぽにお湯を入れ、病院の正門と裏門の前で入院患者に販売している。5リットル入りのものは1万北朝鮮ウォン(約160円)で、3時間しか持たないが、それでも飛ぶように売れている。なお、翌朝に湯たんぽを返せば代金の半額を返してくれるとのことだ。

病院側も、寒さとの闘いは患者個人の自力更生に任せるとの理屈で、湯たんぽ売りを制止しようとはしない。湯たんぽを買えるのは、少しでも懐に余裕のある人で、それすらない人は毛布にくるまって寒さに耐えるしかなく、「むしろ別の病気になりそうだ」「これでは入院する意味がない」とぼやいているとのことだ。

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(参考記事:擦り切れた防寒服で氷点下30度の極寒に耐える北朝鮮の貧困層

現在、破裂した送水管と、各病室のラジエーターを交換する作業を行っているが、完了の見込みは立っていないようだ。不幸中の幸いだったのは、今月12日、13日は非常に暖かく、最低気温が氷点下にならなかったことだ。

しかし、下旬に入ってからは氷点下20度を下回っており、修理が急がれる。

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このようにセントラルヒーティングが止まってしまうトラブルはしばしば起きている。また新築マンションの場合、暖房設備の設置が間に合わないこともある。それで、わざわざ家をリモデリングして、石炭が使えるようにかまどを設置する人もいる。

(参考記事:平壌新築マンションに衝撃の事実…「暖房なく部屋が氷結」