人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

寒波の到来で、今月中旬から北朝鮮の北部では最低気温が氷点下30度近くまで下がっている。比較的暖かい黄海道(ファンヘド)でも真冬日になるなど、韓国の南東部や済州島を除き、朝鮮半島のほぼ全体が厳しい寒さに見舞われている。

北朝鮮北部山間部の両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋は、現地で大雪が降り、非常に寒くなったと伝えている。寒い冬をいかに乗り切るかは生死に関わる問題だが、農村地域では、古くなって破れた防寒着を着ている人が多いという。

北朝鮮は2020年1月、新型コロナウイルスの国内流入を防ぐ目的で国境を封鎖し、一切の貿易を遮断する措置を取った。中国との貿易に依存している現実を無視したゼロコロナ対策で、国内は極度のモノ不足と食糧不足に陥り、食うや食わずの生活をしている人が少なくない。食べるのに精一杯で、新しい防寒服を買う余裕などないのだ。

(参考記事:「金持ちまで餓死」北朝鮮国民がさまよう阿鼻叫喚の巷

情報筋はさらに、暖房用の燃料を買えない人が多いとも伝えている。

人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

「経済力のある人は9月から11月の間に2〜3トンの石炭を買い、越冬準備を終えたが、貧しい人は100キロから200キロほどしか変えていない」

北朝鮮では一般的に、炊事と暖房を含めて一冬に2トン前後の石炭を消費する。国内で算出された石炭は、コロナ鎖国の影響で輸出ができなくなった関係で国内用に回され、価格が下落したが、貧困層はそれでも手を出せないということだ。

(参考記事:北朝鮮で「連合石炭供給」作戦…西部から北東部に大量輸送

ちなみに昨年12月、練炭1個の価格は平壌で750北朝鮮ウォン(約12.75円)、新義州(シニジュ)で600北朝鮮ウォン(約10.2円)だったが、現在では双方とも100北朝鮮ウォン(約1.7円)安くなっている。

人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

これは、石炭を売る商人にとっても厳しい状況だ。平安南道(ピョンアンナムド)や黄海北道(ファンヘブクト)の農村では、売れ残った石炭が数カ月野ざらしにされていると情報筋は伝えた。

貧しい人々に残された道は、山に入って薪を切り出すことだが、金正恩総書記が進めている植林事業により、無断伐採への取り締まりが強化され、以前のようにできなくなったという。

もはや彼らができるのは、わずかばかりの食糧と燃料を切り詰めて使いつつ、春が来るのを待つことだけだ。

(参考記事:「山火事防止」が利権に化ける北朝鮮の森林保護策