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北朝鮮が4日午前、中距離弾道ミサイル(IRBM)1発を発射し、日本列島を越えて太平洋に落下させた。

韓国軍合同参謀本部によると、ミサイルは4日午前7時23分頃、北西部の慈江道(チャガンド)舞坪里(ムピョンリ)付近から発射された。日本の防衛省によると、同28—29分に青森県上空を通過後、同44分頃に日本の東約3200キロの排他的経済水域(EEZ)外に落下したとみられるという。

ミサイルの最高高度は約1000キロ、飛翔距離は約4600キロだったと分析されており、米軍基地のある沖縄とグアムのいずれにも射程に収めている。

今回の発射の目的について、「最近の米韓合同軍事演習や日米韓合同の対潜水艦戦演習などに対する反発」や「将来の対米外交のための布石」、また「ミサイルの精度向上のためのデータ収集」などの見方が語られている。

いずれも十分に考えられるものだが、これらに加え、先月9日に開催された最高人民会議第14期第7回会議で行われた「国家核戦力政策の法制化」との関連についても可能性を指摘しておきたい。

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この日の会議で採択された法令「朝鮮民主主義人民共和国核戦力政策について」は、核戦力の指揮統制は「国務委員長(現在は金正恩氏)の唯一的指揮に服従する」とした上で、核兵器の使用条件について次のように定めている。

(1)共和国に対する核兵器、またはその他の大量殺りく兵器による攻撃が強行されたり、差し迫ったりしたと判断される場合
(2)国家指導部と国家核戦力指揮機構に対する敵対勢力の核および非核攻撃が強行されたり、差し迫ったりしたと判断される場合
(3)国家の重要戦略的対象に対する致命的な軍事的攻撃が強行されたり、差し迫ったりしたと判断される場合
(4)有事に戦争の拡大と長期化を防ぎ、戦争の主導権を掌握するための作戦上、必要が不可避に提起される場合
(5)その他の国家の存立と人民の生命安全に破局的な危機を招く事態が発生して核兵器で対応せざるを得ない不可避な状況が生じる場合――としている。

つまりは金正恩氏の主観的な判断により、核兵器を先制的に使用することを可能にする内容ではあるが、基本的には、敵対勢力からの先制攻撃や差し迫った危機に対応するものとされている。

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同法令ではまた、核戦力の指揮統制システムが敵の攻撃を受けた場合には、「事前に決った作戦方案に従って挑発原点と指揮部をはじめとする敵対勢力を壊滅させるための核打撃が自動的に、即時に断行される」としている。

つまり、敵対勢力からの先制攻撃で金正恩氏を中心とする指導部が機能不全に陥ることを想定し、核兵器を使用した報復作戦を事前に準備しておくと定めているわけだ。

今回のIRBMの発射は、北朝鮮がミサイルの開発段階でよく行う高角度のロフテッド軌道によるものではなく、実戦に近い通常軌道で行われている。また、北朝鮮の国防科学院と第2経済委員会などは1月30日、今回と同型と分析されている中距離弾道ミサイル「火星12」の検収射撃試験を行ったと明らかにしている。

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検収射撃試験は、量産・配備された兵器を抜き打ちで試射し、システムの正確性を検証するものだ。火星12はすでに実戦配備されたことが明らかであり、今回の発射は、核戦力の法制化に伴う作戦立案か、すでに立案された作戦の検証のために行われた可能性があるということだ。

一方、北朝鮮は先月25日に地対地短距離弾道ミサイル(SRBM)1発を発射。28日と29日、今月1日にもそれぞれSRBMを2発発射している。金正恩氏は昨年1月の朝鮮労働党第8回大会で戦術核兵器の開発を明言しており、これらの発射もまた、核戦力の法制化と関連したものである可能性がある。

北朝鮮は、近く強行すると見られる7回目の核実験で、核弾頭の小型化に向けたデータの入手を目論んでいると分析されている。

金正恩氏はこれら一連の取り組みを通じ、どのような状況において核を使用し、どのような破壊行為を行うかを示唆することで、国際社会に対し新たな揺さぶりをかけるつもりかもしれない。