北朝鮮の新兵がもてあそばれる「ある部隊」の陰惨な実態

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北朝鮮で毎年9月は、秋の招募(徴兵)の季節だ。対象は、高等中学校(高校)を卒業した男女で、男性は8年、女性は5年という長い兵役に就く。それだけあって、親たちの心配は尽きない。特に「あの部隊」だけは行ってほしくないと願っているようだ。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)清津(チョンジン)の情報筋は、8月末になって、秋の招募が始まり、市内の各区域の軍事動員部(兵役関連の人事を司る部署)の前は、通知を受けてやってきた若者で溢れかえり、通り過ぎるのも困難なほどになっていると伝えた。

第3放送(有線ラジオ)や朝鮮労働党の各区域の委員会所属の放送車(街宣車)は、毎日のように「祖国保衛は最大の愛国であり、軍服務は青年の神聖な義務」だと繰り返し、軍入隊を促している。

また、8月第4週からは、区域の病院で、入隊リストに名前がある人の身体検査が始まった。その後、軍事動員部での談話(個人面談)を行った上で、軍事動員部に出頭する。

その翌週からは、咸鏡北道の軍事動員部に移動して、10日にわたって再度の身体検査、体力検査、談話を行う。そこで最終的に軍入隊が決まり、軍官(将校)の引率で、各部隊に向かい、新兵訓練を受けるという流れだ。

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通常、招募は春に行うのが基本だが、大学入試のため、入隊対象から外されたものの、試験に落ちて入学できなかった者、身体検査で不合格になった者、家庭の事情などで働いていた者などが、秋の招募の対象となる。

両江道(リャンガンド)雲興(ウヌン)の情報筋は、現地でも秋の招募が始まったが、親たちは、子どもたちがどこの部隊に行くのか、心配しているという。中でも恐れられているのは、建設部隊だ。

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建設部隊の隊員は、軍人の身分ではあるものの、事実上単なるタダ働きの建設労働者で、他の部隊と比べて食糧供給状況も悪い。

栄養失調になって、一時的に帰宅させられる兵士も少なくない。また、何よりも怖いのが、多発する労災事故だ。命を落とすリスクもあり、障害を負って一生苦しい生活を強いられる可能性もある。もはや命をもてあそばれているも同然だ。

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経済力と人脈を持っている人は、その力をフル動員して、子どもを楽で食糧事情のいい部隊に送り込む。現地では「庶民の子どものほとんどは建設部隊に送られた」という話が出回り、ワイロを払えるほどの経済力を持たない親たちは、心配している。

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軍に行く本人やその親たちがさらに心配しているのは、最近多い「集団配置」だ。これは、兵役満了後に、実家に戻るのではなく、農村や炭鉱など、誰も行きたがらないため、労働力の不足が深刻なところに集団で送り込まれることを指す。そうなれば、貧しい地方に一生を縛り付けられることになりかねないのだ。

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