「いいかげんにして欲しい」金与正氏の発言で国民が疲へい

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「もし、敵がわが共和国にウイルスが流入しかねない危険な行為を引き続き行う場合、われわれはウイルスはもちろん、南朝鮮当局の連中も撲滅することで応えるであろう。」

これは、北朝鮮の金正恩総書記の妹、金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党副部長が、10日に開かれた全国非常防疫総括会議で行った発言だ。国内に新型コロナウイルスが流入したのは、韓国から脱北者が送り込んだビラなどが汚染されていたことによるものとして、韓国を非難、報復を示唆したものだ。

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この「宣言」に合わせて、北朝鮮の各地では、反韓思想教育が行われている。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋は咸鏡北道当局が、中央の指示に従い、道内のすべての工場、企業所、学校、住民に対して、「南朝鮮(韓国)傀儡一味がわれわれの主敵であることを心に刻む階級教養事業(思想教育)を行っている」と伝えた。

市内のすべての職場、学校、洞事務所(末端の行政機関)では11日から、朝の読報時間(朝鮮労働党機関紙・労働新聞を読む時間)、夕方の総和(総括)の時間に「南朝鮮傀儡一味はわれわれ人民の不倶戴天の敵」という教育が行われている。

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その場では「こんにちの防疫戦は、わが共和国(北朝鮮)を圧殺しようとする南朝鮮傀儡一味と帝国主義連合勢力の銃声のない戦争だ」などと言ったスローガンを叫んでその日の日課を終えよといった布置(布告)が下された。

一方、江原道(カンウォンド)のデイリーNK内部情報筋によると、元山(ウォンサン)市内の各地に「悪性伝染病(コロナ)を再び投入しようとする南朝鮮傀儡一味の発狂的策動を叩き潰そう」などと言ったビラが貼られた。

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ビラには、軍事境界線を挟んで韓国と接する江原道の軍人、労働党員、勤労者は、敵どもが新型コロナウイルスを浸透させる行為に注意を払い、分析せよといった内容が書き込まれている。

また、最前線地域の軍部隊と民間人の世帯主は、部隊、工場、村、民家周辺を毎朝調べて、その状況を上部に報告する事業を日課として始めよといった内容も含まれている。

さらには、13日午前0時から、労農赤衛隊、赤い青年近衛隊、保衛隊などの民兵組織を動員し、地域に不審物や韓国から送り込まれたと疑われるすべてのものを探し出し、規定通りに焼却せよとも書かれている。

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外敵への敵愾心を煽る思想教育は、コロナ対策に伴う深刻な経済難、食糧不足による民心の離反を抑え込もうとするものと思われるが、住民からは、「いいかげんにして欲しい。毎日の動員に疲れた」「早く終わって欲しい」との声が上がっているとのことだ。

北朝鮮は2020年7月、脱北して韓国に住んでいた20代男性が、越境して再び北朝鮮に戻ったが、男性が新型コロナウイルスに感染していたとして、大々的な反韓、反脱北者教育を実施した。

北朝鮮国民の間では、「韓国は豊かな国」ということが知られているため、そこを逃げ出して貧しい北朝鮮に戻ってきたことに対して、当局の宣伝を信じ込む人から、疑ってかかる人まで、様々な反応が出た。

一方で、今回の場合は、金与正氏が「韓国が悪い」と一方的に主張しているに過ぎず、北朝鮮国民の反応は鈍く、思想教育にはさほど効果はないものと思われる。

(参考記事:北朝鮮、コロナ疑いの元脱北者をネタに反韓教育を実施も反応は様々