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北朝鮮で毎年7月27日は「戦勝節」、正式には「祖国解放戦争勝利記念日」と呼ばれる祝日だ。

1953年のこの日、国連軍代表のハリソン米陸軍中将と、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)及び中国人民志願軍を代表して南日大将が板門店で朝鮮戦争の休戦協定に署名。次いで国連軍のクラーク総司令官、朝鮮人民軍の金日成最高司令官、中国人民支援軍の彭徳懐司令官の3者が調印した。休戦なのだが、北朝鮮では勝利したことにされている。

(参考記事:朝鮮戦争「戦勝記念」を冷めた目で見る北朝鮮の人々

朝鮮戦争に朝鮮人民軍兵士として参加した人々は「戦争老兵」と呼ばれ、社会的に地位が高いとされ、現在でもこの日には毎年、全国老兵大会が開かれる。

これに合わせて北朝鮮当局は今年、戦争老兵のみならず、除隊軍官(退役将校)、栄誉軍人(傷痍軍人)を優遇せよとの指示を下した。咸鏡北道(ハムギョンブクト)では、戦争老兵に対して、食糧配給が行われることになったが、その負担は住民に跳ね返っている。

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咸鏡北道のデイリーNK内部情報筋によると、朝鮮労働党咸鏡北道委員会(道党)は、道内の戦争老兵の所在を把握する作業を行うと同時に、イベントを準備し、1人あたり2万北朝鮮ウォン(約400円)程度の配慮物資の配給を行った。

道党は、養老院(老人ホーム)にいる身寄りのない戦争老兵を新たに探し出し、担当者を派遣して食事の接待を行い、物資を手渡すよう指示した。また、家族のいる老兵も、食事に招待した。

この日に手渡された物資はスーツ、下着、靴下、歯磨き粉、歯ブラシ、石鹸、薬品、果物、飴などだった。

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常に苦しい生活を強いられ、死ぬまでに腹いっぱい食べたいというのが願いだった老兵たち。歯磨き粉などよりも食べ物にしてほしかったというのが、彼らの希望だと情報筋は伝えた。

(参考記事:北朝鮮「戦争の英雄」の悲惨すぎる境遇

道党は、今回の配給を機関、工場、企業所からの拠出に加え、一般住民の税負担で賄った。

米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)の情報筋によると、咸鏡北道当局は工場、企業所、学校、人民班(町内会)を通じて、1世帯あたり食糧1キロ、薪5束、石炭100キロを自発的に納めるように強いている。

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また、住む家がなかったり、バラックに住んでいたりする戦争老兵のために、新しい家を建てるか補修せよとの中央の方針に基づき、機関、工場、企業所に対して、資材の提供を求めた。当然のことながら、その購入費用は従業員が負担することになる。

一方、平安北道(ピョンアンブクト)の情報筋は、地元当局が、人民軍烈士墓(戦争老兵の共同墓地)の管理がなっておらず、墓石が倒れたりしているとして、その補修費用として1世帯あたり5万北朝鮮ウォン(約1000円)を資材購入費として納めるよう強いていると伝えた。

北朝鮮は公式に税金制度を廃止しているが、実際には様々な理由で「税金外の負担」を強いられる。金正恩総書記は、これを阻止すべき犯罪行為としているが、全く徹底されず、次から次へと負担を強いられることに、強い不満の声が上がっている。

「最近のわが国(北朝鮮)の状況は、皆が皆苦しいことは中央もよく知っているはずなのに、何かに付けて、国が負担すべきことを、住民に税負担として押し付ける党中央(金正恩氏)の方針のせいで、住民の間には、体制に対する嫌気が広がっている」(情報筋)

(参考記事:「税金外の負担」禁止令が破られる、税金のない国・北朝鮮