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北朝鮮が昨年7月、国連に提出したSDGsに関する自発的国家レビュー(VNR)によると、安全な水へのアクセスが確保されている国民は全人口の60.9%にとどまった。都市部は71.3%と多少高いものの、農村部は44.5%に過ぎない。下水処理率も47.5%だ。

だが、実際はそれよりもはるかに低いようだ。

デイリーNK内部情報筋は、平安南道(ピョンアンナムド)、黄海南道(ファンヘナムド)、黄海北道(ファンヘブクト)の防疫機関が、上下水道、地下水、河川の水質調査を行ったところ、飲用に適した水は10%に満たないとの結果が出たと伝えた。

上下水道の汚染問題は、北朝鮮国内でも以前から取り沙汰されていたようで、情報筋は「深刻さが改めて確認された」としている。また、このせいで伝染病がさらに広がるのではないかと懸念の声が上がっていると伝えた。

伝染病とは、腸チフスやコレラを指すと思われる「急性腸内伝染病」のことで、黄海南道や平安南道で感染が拡大し、金正恩総書記が自分の家庭用の医薬品を現地に送るなど、支援に乗り出している。

(参考記事:北朝鮮、首都・平壌近郊でも腸チフス感染拡大

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水の汚染が深刻であることが確認されたものの、当局は対策を立てられずにいる。上下水道設備の老朽化、消毒薬など浄水に必要な資材の不足、電力不足など、複数の問題が絡み合っており、一朝一夕にはどうしようもない。

なお、上述のVNRレポートによると、 電気へのアクセスを持つ人口の割合は34.6%だ。公共施設、工場には電気が優先的に供給されているものの、停電が頻繁に起きている。

(参考記事:「金正恩ニュース」の時間帯に停電、発電所員ら絶体絶命

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結局は、原始的な対処方法しかない。朝鮮労働党と防疫機関は、生活汚水と汚物を徹底して防疫規定に則って処理するよう監督・統制し、民家、幼稚園、学校、食堂、建設現場に対しては、飲み水を必ず沸かして飲むようにさせている。

また、人々の意識が低く無知だから伝染病が広がると決めつけ、公衆衛生に関する講演会を開いているとのことだ。

住民からは、当局は上下水道インフラの整備を怠っている責任を、一般人民になすりつけていると不満の声が上がっている。

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「水源地、井戸で水質調査をしたのなら、住民に衛生、安全が担保された水を供給するのが、(朝鮮労働)党と政府がすべきことなのに、それすらも住民に丸投げしている」(情報筋)

「金正恩時代の記念碑的建築物」などと称して、次から次へとタワーマンションを建てさせる一方で、基本的なインフラの整備を疎かにするのが北朝鮮という国だ。

(参考記事:「見るだけで心が痛む」極貧の北朝鮮国民が迎えた残酷な新年