若者夫婦「見せしめ射殺体」に北朝鮮国民も衝撃

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北朝鮮と中国の国境を流れる豆満江で、20代の夫婦が脱北を図ろうとしたものの、銃撃されて死亡する事件が起きた。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えたところによると、事件が起きたのは今月3日の深夜。咸鏡北道の会寧から、川向うの中国・吉林省の延辺朝鮮族自治州龍井に向かおうとしていた20代の夫婦が、国境警備隊から銃撃され、死亡した。

コロナ感染防止という理由からか、遺体は10日間放置され、最近になって回収されたことをきっかけに、この衝撃的な出来事に関する情報が口コミで広がったという。

(参考記事:北朝鮮軍、国境地帯で密入国者を射殺し遺体を放置

これと似た出来事は昨年8月にも起きている。両江道(リャンガンド)の恵山で脱北を試みた20代の若者を国境警備隊が射殺。その遺体を2週間にわたり放置したのだ。町そのものが国境を流れる鴨緑江沿いに位置する恵山のこと。普通に通りを行き来するだけで否が応でも遺体が目に入るだろう。一種のさらし首だ。

現地の情報筋は「見せしめで恐ろしい雰囲気を作り出し、緊張感を高めるためのもの」と見ていた。経緯は異なれど、北朝鮮お得意の公開処刑と大差ないやり方だ。

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北朝鮮の社会安全省(警察庁)は2020年8月、新型コロナウイルスの国内流入を防ぐためとして、国境と接する緩衝地帯に無許可で近づく者には、無差別に銃撃を加えるとの布告を出した。その後、射殺される人が相次いでいた。

ただ今年に入って、やり方が本来の目的から逸脱している、軍や政府に対する反感が高まる、国のイメージを乱すなどの理由から、まず停止を命じて従わない場合に銃撃する方針へと変更された。

(参考記事:「国のイメージを乱す」金正恩氏、無差別銃撃を中止

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今回の銃撃事件の詳細について、情報筋はわからないとしているが、先月14日から始まった全国的なロックダウンで、隣家との行き来すら困難となり、部分的な解除を経て全面解除に至る過程でようやく事件のことが知れ渡ったという。

また、隣接する茂山(ムサン)や穏城(オンソン)などでも、国境を渡ろうとして射殺された人がいるという噂が出回っているとのことだが、別の事件なのかは不明だ。

(参考記事:北朝鮮、全国的なロックダウンを全面解除…米メディア報道

情報筋は、今回の事件を受けて、現地に駐屯する国境警備隊第27旅団は、国境警備に兵力を総動員したとも伝えている。