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鹿の角は漢方で「鹿茸」と呼ばれ、非常に珍重される。その中に入っている血も、滋養強壮効果が非常に高いとされているが、北朝鮮の人々の間では、新型コロナウイルスの治療薬として高値で取引されているという。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

平安南道(ピョンアンナムド)の情報筋は、北朝鮮随一の流通の中心地、平城(ピョンソン)で、コロナの特効薬として鹿の血を違法に販売する人が増えたと伝えた。

価格は、生き血がアンプル1本で1万北朝鮮ウォン(約200円)、乾燥させたものならその半額だ。乾燥させた血とは、鹿が出産する時に出た胎盤や血を乾燥させて、粉末にしたものだという。長持ちしない生き血と異なり、こちらなら長期間の保存も可能だとされる。

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平安北道(ピョンアンブクト)の別の情報筋は、コロナに限らず、腸チフスなどの伝染病が流行するたびに、鹿の血が治療薬として密かに取り引きされてきたと述べた。

北朝鮮では発熱した場合、当局により隔離施設に収容されてしまう。それを避けるために、すぐに解熱剤を飲んで熱を下げようとするが、入手が非常に困難となっているために、代用品として鹿の血が使われているとのことだ。ただ、鹿の血に解熱効果があるのかについて、情報筋は言及しておらず、真相は不明だ。

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ちなみに、鹿の血の出どころは、平安南道の安州(アンジュ)にある雲谷(ウンゴク)牧場だ。1960年代まで政治犯収容所だったが、立地環境が優れていることから、1970年代に金日成主席とその一族、最高幹部らに肉、卵、牛乳を供給する牧場へと変貌した。

この農場では、飼育しているジャコウジカから麝香(じゃこう)や鹿肉を生産、平壌に納品しているのだが、農場員がその血を市場に横流ししていると、情報筋は説明した。

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その話が知れ渡り、地元民の間では「一般人民の暮らしは悪化しているというのに、幹部は高価な食材を使って贅沢三昧している」と不満の声が上がっている。

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