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欧米諸国で進む「脱マスク」。アジアでも、シンガポールで先月、韓国では今月から、屋外でのマスク着用義務が撤廃された。

今に至るまで、国内における新型コロナウイルス感染者の発生を認めていない北朝鮮だが、国民にマスク着用を強いている。それは、農作業の際にも適用される。

(参考記事:北朝鮮「コロナ隔離施設」縮小の裏事情

咸鏡南道(ハムギョンナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、朝鮮労働党咸鏡南道委員会は今月5日、非常防疫委員会のイルクン(幹部)を集めて、田植え総動員期間の防疫管理を厳格に行い、現地で指導に当たるよう指導した。

より具体的には、道内の穀倉地帯である咸州(ハムジュ)平野の農場を中心にしたすべての地域のみならず、動員された人々が通る経路に、防疫所のイルクンや診療所の医師、衛生担当者を派遣し、担当区域を分けた上で、現場で防疫に関する指導を行うというものだ。

また、田植え計画に合わせて1日5回ほど現場の消毒を行い、動員された人々が「田んぼで田植えを行うのに煩わしい」とマスクを外すことがないように指導を行い、健康管理まで行うなど、体系的な防疫・予防作業と田植えを並行できるようにせよとの指示が下された。

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北朝鮮では毎年5月、都市住民を大々的に動員して農場に送り込み、田植えの支援をさせる「田植え戦闘」が行われてきたが、一度に多くの人が集まるとあって、コロナ感染が広がりかねないと見ているのだろう。

このように、農村にコロナ対策要員として派遣されるのは、咸鏡南道だけで3〜400人ほどになる。

北朝鮮が「ウィズコロナ」の世界的な流れに反して、未だにガチガチのコロナ対策を行っているのは、万が一コロナ感染が広がっても、適切な対処を行う設備や備品もなければ能力もなく、体制を揺らぎかねないとの危機感があるからだろう。

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北朝鮮の「脱マスク」が、全世界で最も遅くなることは、充分考えられることだ。マスク着用強制は、国境の閉鎖と同時に行われているだけあり、それが遅れるのは、人々の苦しみが長続きすることに他ならない。

(参考記事:若者たちが大量に…「死の夜会」と化した北朝鮮の熱狂集会