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デイリーNKは先月初旬、北朝鮮内部情報筋を通じて、朝鮮労働党中央委員会組織指導部が発行した内部資料の入手に成功した。

「解説談話資料」と題されたこの資料、A4用紙4枚分で、全国の青年同盟(社会主義愛国青年同盟)に配布された。資料が説いているのは、若者の愛国心、その発露としての軍入隊だ。

「1950年、勇士たちが発揮した祖国守護精神は、白頭の革命精神を継承した医大なる時代精神であり、千万軍民に熱烈な愛国心を植え付け、彼らの英雄的偉勲を呼び起こす先軍朝鮮の魂」
「(当時の若者たちが)血で勝ち取った革命の戦勝品である社会主義祖国を、先頭に立って決死擁護する総爆弾にならなければならない」

つまり、朝鮮戦争に参戦し犠牲になった当時の若者を称え、今の若者の愛国心を高め、皆が先を争って軍に入ろうとする空気を作ろうというものだ。

2022年3月に朝鮮労働党中央委員会組織指導部が配布した解説談話資料(画像:デイリーNK)
2022年3月に朝鮮労働党中央委員会組織指導部が配布した解説談話資料(画像:デイリーNK)

また、資料の最後の部分にはこう書かれている。

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「(若者には)祖国防衛に偉大なる首領様(金日成主席)の子孫、偉大なる将軍様(金正日総書記)の戦士、教え子としての本分があり、最大の愛国忠誠がある」
「米帝侵略者どもを撃滅した偉大なる時代の勝者たちのように、祖国を前にしてかつての世代(のように)任務を立派に遂行し、金正恩元帥様の真の革命戦士として強く備えなければならない」

このような資料が3月に出されたのは、招募(徴兵)が行われる時期だからだ。だが、北朝鮮の若者の間では、軍入隊を避けようとする風潮がある。あまりにも環境が悪いからだ。

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軍の食糧供給は、全国の協同農場に頼っているが、おりからのコロナ鎖国で肥料、営農資材が不足、収穫量が落ちているところに、輸送過程における横流し、横領の類が多発し、末端の兵士にはまともな食糧が配給されない。

実家からの仕送りがなければ栄養失調など様々な病気にかかり、軍入隊の最大のメリットといえる朝鮮労働党への入党がかなわないまま、病気で除隊させられる事例も少なくない。また、若者の間では、軍内で横行する暴力に対する拒否感も強いようだ。

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さらに、勤務中の事故で障害を負った栄誉戦士(傷痍軍人)や、軍を勤め上げた人々に対する待遇も非常に悪くなり、生活苦に苦しめられている人も少なくない。

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軍に対する悪評が知れ渡り、両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)では昨年、高級中学校(高校)卒業生たちが、コロナ感染対策を口実にして、徴兵検査を拒否する事件が起きるなど、徴兵に支障をきたしている。

それを、青年同盟を通じた思想教育を通じて教育を行い、解決しようとしているのだが、それに対する住民の反応は冷淡だ。

「政府は招募期間になれば、軍隊での服務は若者の神聖な義務だとして、国に忠誠せよと強いているが、軍に入れば辛いだけで、青春をすべて捨てることになるのに、誰が喜んでいこうとするものか」(情報筋)