風水には明堂という概念がある。「気」を集める地理的条件を持った場所のことで、先祖の墓を立てるに適しているとされている。そのためにわざわざ改葬までする人が韓国にはいるようだが、北朝鮮も事情はそう変わらない模様だ。
咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNKは、墓の場所を巡ってトラブルが起き、警察沙汰に発展した事件について伝えている。
清明節に当たる今月5日にはお墓参りをする習慣があるが、当局はその前の3月末、清明節に発生しうる墓をめぐるトラブル防止のために、複数の注意事項を発表し、全国の朝鮮労働党や行政組織を通じて、住民に伝達した。
具体的には、清明節に墓を改葬したり、墓石を立て替えたり、祭祀を行う場合、家族4人までが参加できる、墓のある山にいる時間の長さについては防疫機関の承認を受けなければならない、山火事を起こしてはならない、太陽節(4月15日の金日成主席の生誕記念日)を控え、飲み食いして騒いだりケンカをしてはならない、などと言ったものだ。
咸鏡北道の延社(ヨンサ)に住むキムさん一家は、清明節の当日午前から、迷信として禁止されているムダン(巫堂、シャーマン)を呼んで墓の改葬を行っていた。少し位置をずらして隣の墓のすぐそばに移動させたのだが、これを見咎めた隣の墓の家族と口論となった。
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やがて手が出て、殴り合いのケンカになってしまった。それを見つけた山林監督員に制止され、続いて出動した機動防疫組により、安全部(警察署)に突き出されてしまった。
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規則を破ったのはもちろんだが、より問題視されたのは、一切の事件事故の発生を許してはならないことになっている太陽節の数日前に大げんかを繰り広げた上に、ムダンを呼ぶという非社会主義行為(風紀を乱す行為)を行ったことだ。
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