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北朝鮮が非常に力を入れている分野のひとつがC1化学だ。製鉄所の排気ガスなどに含まれる一酸化炭素と水素の合成ガス、メタン、メタノールといった化合物を原料に用いて、肥料や燃料などの化学製品を合成するための化学技術法である。

この設備と工場は重要建築とされており、朴奉珠副委員長や金徳訓内閣総理が頻繁に視察。朝鮮中央通信など国営メディアで報道されることも多い。

ただ、施設の建設と稼働に伴う事故も少ならからず発生している。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋によると、事故が起きたのは明澗(ミョンガン)化学工場でのことだ。ここでは炭酸ソーダの生産工程を改築、拡張するプロジェクトを今年度上半期の課題とし、1月から総力を傾けていた。

そこで最近、2回目の実験を行ったところ、爆発が起きて4人が死亡、10人が重傷、20人が軽傷を負う大事故が発生した。中でも今回の工程の研究の中心にいた研究者が重症を負い、一命はとりとめたものの失明する可能性が指摘されている。

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実は、この工場では以前にも事故が起きていた。1月中旬に行われた1回目の実験で爆発が起き、20人あまりの重軽傷者が出ているが、幸いにして死者が出なかったため、法的な追及を受けることはなかったという。

だが、今回の事故では死傷者が多数発生したため、咸鏡北道安全部(県警本部)が原因究明のための捜査に乗り出した。しかし、研究者など実験に携わった主要なイルクン(幹部)が全員入院している状態で、一部の調査を行うにとどまっている。

工場の労働者は、「1回目の事故の後、備えをしっかりしなければならなかったのに、成果を出すことに汲々として労働者の安全にはさほど気を使わない工場の管理イルクンが問題だ」と非難の声を上げている。

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(参考記事:責任は現場に押し付け…北朝鮮・繊維工場での爆発事故

朝鮮労働党の命令とあらば、不可能なことでもやれと命じ、早く成果を出せと催促するため、大小様々な事故が頻発している。だが、事故のせいで実験は止まってしまった。

北朝鮮の病弊の一つとも言える「速度戦」、つまりともかく早急に完成させようとするもので、中身の質は、問題にならない限り問われない。

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これによる事故が多発しており、金正恩総書記も一度は諌める発言をしたものの、結局は長続きせず、速度戦が当たり前になっている。

(参考記事:一度に500人犠牲も…殺人的「速度戦」を金正恩氏が止めた理由