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デイリーNKは最近、北朝鮮国内で先月初旬に、82連合指揮部に配布された「非社会主義、反社会主義行為を終息させるための一大殲滅戦を繰り広げることについて」と題された、朝鮮労働党中央委員会の指示文の入手に成功した。

82連合指揮部とは、北朝鮮当局が社会主義体制にそぐわない、社会主義に反していると見なす行為を取り締まるために立ち上げた、各省庁の人員からなるタスクフォースで、地元とのしがらみから効果的な取り締まりができていなかった地元の治安機関に成り代わって、摘発にに当たっている。

(参考記事:「取り締まり強化」が止まらない北朝鮮の国境地域

2022年2月に各地域の82連合指揮部に下された指揮文(画像画像:デイリーNK内部情報筋)
以下は指示文の一部だ。

各級82連合指揮部は、殺人、強盗をはじめとする強力犯罪と麻薬、売淫(売春)、賭博行為など反社会主義、非社会主義的行為が、ひどく起こっている地域に安全(警察)、保衛(秘密警察)、検察、裁判機関のイルクン(幹部)からなる(必要な場合には武力機関の法イルクンも含む)連合打撃隊を派遣し、人々に恐怖と不安を巻き起こす犯罪者を摘発し、厳しく罰する。

これは、上述の通り、問題が起きている地域の機関に取り締まりを任せず、別の地域から人員を派遣して取り締まりに当たらせるということだ。言い換えると、今までのようにワイロを受け取って違法行為に目をつむる行為を根絶させることを意味する。

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また情報筋は、「昨年から82連合指揮部が反社会主義、非社会主義との闘争を繰り広げてきたが、未だに根絶しに出来ていないと判断したようだ」とし、その根絶のためにより強力な指示を下したものだと解説した。

指示文では、金正恩総書記が強調する「人民愛」が強調されている。

法機関は各級82連合指揮部の指揮の下に、人民の生命の安全を激しく侵害する強力犯罪者や、麻薬、迷信(占いや宗教)、不順出版宣伝物犯罪者に対しては、訴訟活動を長引かせず、捜査、予審、裁判の過程を立体的に、電撃的に速戦即決した後、公開闘争で犯罪者を断固として処理して、人民の怨嗟を適時に解消する。

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一方で、82連合指揮部の最優先闘争対象として挙げられたのは「韓流」だ。これは当局の「韓流コンテンツにハマった者が、資本主義思想を持ち、強力犯罪を行っている」との認識が根底にある。

(参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…

情報筋によると、指示文が出された後の今月初旬に咸鏡北道(ハムギョンブクト)82連合指揮部が本格的な取り締まりに突入した。また、人口の多い清津(チョンジン)市と会寧(フェリョン)市は、82連合指揮部の人員を増員して、対応に当たっている。

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ただ、取り締まりが効果をあげられるかは未知数だ。市民の側には取り締まりを巧妙に避ける手法ができ、韓流に対する愛着が非常に強いからだ。また、取り締まる側の幹部の間で、韓流コンテンツを海外から取り寄せたり、流通させたりする現象も見られる。

「数多くの若者が韓国映画やドラマを見て処罰されたが、依然として見ようとする人が多い。また、幹部や金持ちの家の子息が相次いで取り締まりにひっかかる状況で、取締官も頭を抱えている」(情報筋)

(参考記事:金正恩「権力層を集中取り締まり」処刑部隊も見せしめに