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北朝鮮は、政治的に大きな意味のある祝日に、国民に「贈り物」を配給する。ごく単純に言うと「モノで釣る」ということだ。来月15日の太陽節(金日成主席の生誕記念日)に向けて、子どもたちに配布するランドセルの生産に入ったが、順調に行っていないようだ。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)清津(チョンジン)市の幹部は、太陽節に合わせて全国の小学校新入生に贈る予定のランドセルの生産が中断したと伝えた。

清津市の水南(スナム)区域にある清津カバン工場は、昨年末に開かれた朝鮮労働党中央委員会第8期第4回総会での決定に基づき、今月からランドセル生産に入った。それがわずか数日で中断に至った理由として、この幹部は材料不足を挙げた。

「雪や雨に濡れても大丈夫な中国製の防水布でランドセルを作ろうとしたが、材料不足で生産を中断した」(幹部)

これに慌てた朝鮮労働党咸鏡北道委員会は、中国の工場に生産を依頼することにした。ただ、輸入品はすべて15日のコロナ隔離期間を経なければ国内に搬入することが許されず、貿易施設は清津から遠く離れており、輸送にも非常に時間がかかる。

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(参考記事:北朝鮮、輸入品を消毒する大規模防疫施設を増設へ

平安北道(ピョンアンブクト)新義州(シニジュ)市の住民情報筋は、朝鮮労働党平安北道委員会が、自国労働者が派遣されている中国の工場に、ランドセル生産を指示したと伝えた。太陽節までに届けられるようにせよと、非常措置を取った。

ただ、代金は一切支払わず、費用は、労働者に課せられた課題金(上納金のノルマ)で支払うように指示し、北朝鮮の派遣会社は頭を抱えているという。

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一方、新義州の対岸、中国・丹東の情報筋は、北朝鮮から見本となるランドセルが送られてきて、同じものを製造するよう指示が下されたと伝えた。しかし、丹東周辺では新型コロナウイルスの新規感染者が増えており、移動統制が始まったため、期日までのランドセル生産は難しいだろうと見ている。

また、生産に必要な費用はまったくなく、派遣会社は労働者から1人あたり100元(約1850円)の費用を徴収している。

丹東より状況がひどいのが、隣接する吉林省だ。新型コロナウイルスの14日の新規感染者が3076人に達し、一部地域ではロックダウンに踏み切った。このような状況でのランドセルの生産、輸入は非常に厳しい。上述の幹部も不可能だと言い切っている。

(参考記事:中国・吉林省でコロナ感染拡大、注目される隣国北朝鮮の反応