「なんとか餓死を防ごう」食糧が底をつき始めた北朝鮮

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北朝鮮では例年、初夏に「春窮期」が訪れる。前年に収穫した作物が底をつき、食べるものがなくなる時期を指すが、中でも完全に蓄えが底をついた家庭のことを「絶糧世帯」と呼ぶ。

コロナ鎖国が始まった一昨年から、その状況に拍車がかかっているが、今年も相変わらずのようだ。

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咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋は、朝鮮労働党咸鏡北道委員会
(道党)は、先月16日の光明星節(金正日総書記の生誕記念日)80周年の祝賀行事に、食べ物がなくて参加できなかった人が多かったという報告を受けたと伝えた。

まだ年が明けて間もないにもかかわらず、すでに食べ物が底をつき、飢えているという人が徐々に増えているという。問題を認識した道党は先月18日、執行委員を集めて会議を開いた。

会議では、1990年代後半の大飢饉「苦難の行軍」において、咸鏡北道で最も早く飢えが深刻化したとされており、あるべき備蓄食糧がない状態では、また同じような「不名誉」なことになりかねないとの話が出たとのことだ。飢えが広まれば治安も悪化し、道内の統制にも支障をきたす。

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また、コメ価格が安定せず非常に高値で取り引きされており、一般住民は手を出せない状態にあるとして、深刻な飢えで光明星節の行事に参加できなかった人の実態を加えて、現在の食糧事情を報告した。

道内の全ての地域において、住民が最も早急に求めているのは食糧であることが指摘された。

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これに対して道党は、「道内のイルクン(幹部)が人民の生活の責任を持たなければならない」として、すべての党機関、人民委員会(道庁、市役所)、経営委員会が一丸となって、生活の苦しい住民の世話をすべきだとの立場を示した。農繁期になる前に生活の苦しい家庭を探し出して、道が助けて餓死することのないようにしなければならないと強調した。

その一方で「(収穫期の)今年の秋までベルトを締め付けよう(耐え忍ぶの意)」と訴えたが、イルクンの間からは「毎年ベルトを締め付けているのに、どこまでさらに締め付けたらこの困難から抜け出せるのか」「あらゆる手段を尽くして食糧を解決するという希望的な報告なく、頑張ろうと言う会議ばかり」などと虚しさを訴える声が上がった。

本来は、国が責任を持つべき食糧配給だが、とっくの昔にそのシステムは崩壊、自給自足、自力更生を訴えるばかりとなっている。

(参考記事:「今年のキムチは諦めた」深刻な野菜不足の北朝鮮