「若者の精神状態を改造する」金正恩の新法に青年らが猛反発

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昨年9月の最高人民会議で採択された、北朝鮮の「青年教養保障法」。採択の時点では条文は明らかにされず、若者に対する思想教育を強化する内容と見られていたが、中身が明らかになりつつある。

違反した場合、10年もの懲役刑になりかねない厳しい処罰事項のある法律だ。

(参考記事:北朝鮮、若者の思想を統制「青年教育保障法」導入へ

デイリーNKの内部情報筋は、この法律について「外部と資本主義文化に慣れ親しんでいる青年を対象として、思想、精神状態を改造する内容」と規定し、「青年たちの間で表れている反社会主義、非社会主義思想を除去し、党と首領の指示通りだけに考えて行動するように教育する」と法の目的を明らかにした。

(参考記事:北朝鮮「骨と皮だけ」女子高生が裁かれた禁断の行為

ちなみに反社会主義・非社会主義とは、当局が社会主義にそぐわないと考える行為のことで、韓流コンテンツの視聴、密輸など該当するものは非常に多いが、生活に支障が出るほどの厳しい取り締まりが続けられている。

(参考記事:長期化する非社会主義取り締まりで疲弊の度合いを深める北朝鮮国境地域

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情報筋は、「今後さらに強化される反社会主義、非社会主義の取り締まりに対して、抵抗する青年には一切の許しも慈悲も必要ない」という法律の内容を明らかにし、違反者への最高刑は労働教化刑(懲役刑)10年と定められていると伝えた。

国営の朝鮮中央テレビが今月5日に放送した法規解説によると、青年教養保障法は5章、45条からなる。具体的に何を禁止しているかは明らかにされなかったが、反動思想文化排撃法と同様のものと思われる。

だとすれば、韓流コンテンツの視聴、流布、未登録のテレビ、ラジオ、パソコンなどの使用、許可されていない書籍の閲覧などが含まれると思われる。反動思想文化排撃法は外国からの文化の流入を遮断するのが主目的だが、青年教養保障法は、党と首領に対する忠誠心や反帝国主義階級意識を強調し、社会主義の原則を守ることを要求している。

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さて、この法律に対して、若者からはブーイングが上がっているようだ。情報筋はその反応を以下のように伝えている。

「青年教養保障法施行に対して、ほとんどの人が唖然としている」
「外国の映画を見ただけで殺されなければならないのかと、不満を持つ青年が多い」
「ほとんどの青年が『外国の映画、ドラマ、音楽に接したからとどうなんだ』と理解できない様子だ」
「それでなぜ、処罰を受けなければならないのか理解できない」

他の国では全く処罰の対象とならないようなことで処罰を受け、ときには処刑される現実を、北朝鮮の若者はまったく受容していない。そんな事例が出れば出るほど、党や首領に対する忠誠心が高まるのではなく、むしろ反感を高める結果を生むだろう。

(参考記事:犯罪者の4割は「韓流ドラマを見た、売った」…北朝鮮の極秘統計