北朝鮮空軍で武器庫が爆発炎上…特別警備中「あわや」の重大事件

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今月8日は建軍節。1948年に朝鮮人民軍(北朝鮮軍)が設立されたことを祝う記念日だ。また、16日は光明星節、金正日総書記の生誕記念日だ。このような政治的に重要な記念日の前後は、一切の事件、事故の発生は許されない。

ところが、そんな中で航空・反航空軍(空軍・防空軍)の基地内で大規模な火災が発生したと、デイリーNKの北朝鮮軍内部情報筋が伝えた。

火災が起きたのは7日午後8時ごろ。首都・平壌の外れに位置する航空・反航空軍の後方司令部(補給担当部隊)直属の警備小隊の区分隊の兵営では、建軍節74周年の関連報道の聴取、映画文献の学習を行うと同時に、部隊全体では、参謀部の指示で、当日の午後5時から24時間、特別警戒勤務を行っていた。そんな最中に、武器庫から火の手が上がった。

すぐさま非常召集1段階が発令され、軍官(将校)、兵士を含めた部隊の人員はもちろん、民間人の従業員、その家族まで動員されバケツを使って消火に当たり、午後10時ごろに鎮火した。

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自動小銃と拳銃はすべて燃えてしまったが、軍官と兵士が力を合わせ、なんとか非常用の弾薬箱5個と、散弾の入った弾薬箱1個だけは持ち出すのに成功した。

出火から鎮火まで2時間かかったが、消防車は1台たりとも出動しなかった。北朝鮮の消防体制は非常に脆弱で、一昨年には、火災が起きても消防車が出動しなかったことで、多数の死者を出し、地方トップが地域住民に謝罪する事態も起きている。

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さて、火災の原因だが、飲酒運転だった。

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外出していた幹部の車の運転手が、ロシア車のUAZを運転して部隊に戻ろうとしたが、特別警戒中だったため、警備小隊の正門で制止された。上級兵士(兵長に相当)の階級を持った運転手は酒に酔った状態だった。北朝鮮では、飲酒運転による事故が頻繁に起きており、2015年には厳罰方針が下されたものの、依然として蔓延しているようだ。

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さて、制止された運転手だが、検問に応じようとせず車を急発進させ、勢い余って警備小隊の兵営に衝突してしまった。車は爆発炎上、火は兵営に燃え移り、油で磨かれた武器が大量に保管されている武器庫にも引火、大火災へと繋がったという流れだ。

報告を受けた軍の総参謀部は、建軍節の前日、それも平壌でこんな大騒動が起きたことに対して、航空・反航空軍司令部に対して強く追及を行った。彼らは、建軍節の当日にも、現場に収拾作業に当たった。

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現在、航空・反航空軍の保衛局(秘密警察)から事件を移管された軍の保衛局が、調査を行っており、後方部の後方司令官、政治委員、保衛部長らに対して降格と朝鮮労働党としての処罰が予想されている。

一方で、今回の火災の原因となった運転手だが、事故で瀕死の重傷を負ったようで、現在、航空・反航空軍司令部の病院で、手錠をされたままの状態で入院、治療を受けているとのことだ。