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北朝鮮当局が市場に対する締め付けを強化する中、商人に対する「おとり捜査」が行われている。両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋が、その手法について伝えた。

おとり捜査の対象となったのは、ガソリンやディーゼル油を扱う商人だ。これらは、国営の燃油販売所(ガソリンスタンド)を通じて販売することになっており、個人の販売は違法だが、今まで広く行われてきた。

ガソリンスタンドは、各種国家機関傘下の貿易会社が経営している。市場の役割を縮小させる取り締まりは、利権を国に集中させる当局の方針に合致したものと言えよう。

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さて、取り締まりの手法だが、まずはおとり捜査官が、商人に大口の取引を持ちかけることから始まる。ある男性が燃油商人のチェさん(40代)に、ディーゼル油50キロ(58.5リットル)を買いたいと持ちかけた。チェさんは悩んだ末に売り渡すと答えた。

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すると20分もしないうちに、安全員(警察官)がやってきて、倉庫に備蓄していたガソリンとディーゼル油800キロをすべて没収した。「ある男性」は、安全部のおとり捜査官だったのだ。チェさんは安全部に連行され、燃油の出処や顧客について取り調べを受けている。

情報筋によると、このような手法での取り締まりはかつてなかったことだ。各地域の安全部は、今月16日の光明星節(金正日総書記の生誕記念日)に向けて、上部から上納金を求められているが、それを稼ぎ出すために、露骨なやり方で取り締まりを行っているということだ。

チェさんがターゲットになってしまったのは、安全部にワイロを納めていなかったからだ。個人の燃油販売が違法行為であることから、通常は安全員や保衛員(秘密警察)にワイロを掴ませて、彼らの庇護を受けて商売をおこなっているが、チェさんは何らかの理由でそれを行っていなかったのだ。

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だから取り締まるというのは、ヤクザがやっていることと何ら変わりないが、北朝鮮はそういう仕組みで動いている国なのだ。

(参考記事:ワイロでなし崩しにされる北朝鮮の「イナゴ商人掃討作戦」