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コロナ鎖国で輸入がストップし、深刻な物資不足に苦しめられている北朝鮮。そんな中でも豊富だったのが、塩だ。他の多くの物資が中国からの輸入に頼っているのとは異なり、遠浅な朝鮮西海(黄海)に多数存在する塩田で生産された国内産の塩が大量に流通していたからだ。

そんな塩ですら不足に陥り、昨年末から値段が高騰しているという。それには北朝鮮ならではの事情が関係している。詳細を、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋によると、塩はこれまで、国内生産量が多く不足することはなかったが、昨年末から、1990年代後半の大飢饉「苦難の行軍」のときのように品薄になりつつある。昨年春には1キロ1000北朝鮮ウォン(約24円)だったのが、キムジャン(キムチ大量漬け込み)の季節を迎えた昨年12月には、価格が2.5倍から3倍にも高騰した。その理由を情報筋は次のように説明した。

「西海(黄海)の海水に(新型)コロナウイルスが流入しているかもしれないとの理由で、塩田での塩の生産を中止させたところ、塩価格が徐々に上昇し始めた」

金正恩総書記は、海水を通じて新型コロナウイルスが感染するかもしれないと考えていたようで、漁船に対して、出漁禁止を命じたと伝えられている。それと同じ理由で、塩田での塩生産を中止させたようだ。ちなみに米国の疾病予防管理センター(CDC)は、水を通じて新型コロナウイルスの感染が広がることを示すエビデンスはないとしている。

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(参考記事:「海水からコロナに感染する?」金正恩の出漁禁止命令に苦しむ漁民たち

なお、2019年まで多発していた日本海沿岸への木造船漂着が2020年以降激減したのも、この出漁禁止が影響していると思われる。

(参考記事:「魚を獲らせて」懇願する漁民に銃口を向け…問答無用の金正恩命令

食生活に欠かせない塩ですら品薄になり、価格が高騰したことで、当局は慌てて塩田事業所に、塩の生産再開を命じた。

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黄海に繋がる海州(ヘジュ)湾に面した黄海南道(ファンヘナムド)碧城(ピョクソン)郡の情報筋も、現地で塩が品薄となって価格が高騰しているとし、人々は苦難の行軍が再来するのではないかと語っていると伝えた。

「金正恩氏が政権について10年で再び塩が品薄となり、住民の間ではまた苦難の行軍が来るのではないかと不安感が高まっている」(情報筋)

塩1キロの価格が3000北朝鮮ウォン(約72円)近くまで高騰し、人々は、未精製の塩は価格が同等のトウモロコシ1キロ、精製された塩はトウモロコシ2キロと交換する形で購入しているとのことだ。

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塩生産を中止させて、不足状態に陥るや慌てて生産を再開させる当局の朝令暮改ぶりに、現地住民は反感をあらわにしているという。