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元日から1ヶ月半にも及ぶ長い冬休みに入った北朝鮮の学校。大人たちは新年早々、堆肥戦闘など様々な課題(社会的ノルマ)を押し付けられ、てんてこ舞いしているが、子どもたちはコロナ対策もあってか、ステイホームを続けている。

そんな中、初級中学生(中学生)、高級中学生(高校生)の非行が問題になっていると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

(参考記事:「堆肥戦闘」に続き薬草集めに追い立てられる北朝鮮国民

咸鏡北道(ハムギョンブクト)慶源(キョンウォン)郡の情報筋は、邑(郡の中心地)の初級中学校の生徒が賭博を行い、摘発されたと伝えた。

3年生(15歳)の男子生徒5人は、ある家に集まって、冬休みの宿題をしていたのだが、勉強に飽きたのかカード賭博を始めた。1人あたり3万北朝鮮ウォン(約720円)ずつ出して、トランプカードを使って、1等は500北朝鮮ウォン(約12円)、2等は300北朝鮮ウォン(約7円)、3等は100北朝鮮ウォン(約2円)をもらうという方式だ。

コメ1キロが4500北朝鮮ウォン(約110円)であることを考えると、3万北朝鮮ウォンは小さい金額ではない。親がかなり裕福で、甘やかされていたことがうかがえる。

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昼食時になると、集まった15万北朝鮮ウォン(約3600円)を持って飲食店に乗り込み、酒とつまみを頼んで昼間から飲酒をしていたのだが、その最中にけんかになり、一人が怪我をして入院したことで、彼らの非行事実が明るみに出てしまった。

子どもも子どもなら、親も親だ。

学校に呼び出された5人の親は、聞き取り調査の過程で腹を立て、大げんかへと発展。これまた大問題となってしまった。

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教育当局は、賭博、飲酒、けんかを反動思想文化排撃法で定めた典型的な非社会主義現象(風紀の乱れ)と見なし、厳重に対処するように指示した。郡党委員会(朝鮮労働党慶源委員会)は、郡の青年同盟に対して、思想教養(思想教育)を行うよう指示した。担任教師に対しては出党(朝鮮労働党からの除名)、厳重警告など行政処罰、党的処罰を行う方針だ。

なお、北朝鮮刑法は266条で、賭博を行った者を5年以下の労働教化刑(懲役刑)に処すと定めているが、今回は未成年だったということで、実刑判決は下されなかったようだ。一方で、別の地域で韓国映画を少し見ただけの中学生に実刑判決が下されたことを見ると、北朝鮮当局が賭博よりも韓流視聴を重い罪と見なしていることがわかる。

(参考記事:北朝鮮、14歳少年を「たった5分」で容赦なき見せしめ

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同様の事件は他の地域でも起きている。

平安北道(ピョンアンブクト)の司法関連の情報筋は、先週初め(今月10日ごろ)、定州(チョンジュ)市の高級中学校3年生(17歳)の生徒4人が、友人の家に集まって、トランプカードを使って賭博を行い、集まったカネで酒、つまみ、タバコを買って、昼間からどんちゃん騒ぎをしていたところを、隣人の通報で逮捕されたと伝えた。

安全部(警察署)が道党委員会(朝鮮労働党平安北道委員会)に報告したところによると、彼らは1人あたり1万5000北朝鮮ウォン(約360円)ずつ出し合って、賭博をしていたという。

相次ぐ事件を受け中央の教育当局は、各道、市、郡の党委員会、司法機関、青年同盟に対して、児童、生徒の非社会主義根絶策を立てよとの指示を下したが、具体的な対策は立てられていないとのことだ。

取り締まりを優先させる当局のやり方に、父母は不満の声を上げている。長い冬休み期間中に、これと言った課外活動の機会も与えず、家にばかりいさせているからこんな事が起きるのではないか、といったものだ。

根本にあるのは、北朝鮮には娯楽が非常に乏しく、飲酒や賭博、韓流やアダルトビデオの視聴などくらいしか楽しみがないということにある。これは子どもも大人も同じだ。

(参考記事:少年少女「性びん乱パーティー」に見る北朝鮮社会の退廃