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教育は無償であることを謳っている北朝鮮。だが、現実は異なる。

本来なら無料で得られるはずの教科書や制服だが、実際はほとんどの人が市場で買って手に入れる。コロナ前からそんな状況だったことを考えると、コロナ禍の今、状況はより深刻になっているだろう。

(参考記事:中高生は「教科書なし」…経済制裁に苦しむ金正恩政権「本当の内情」

学校に通う子を持つ親に喜ばしいニュースが飛び込んできた。昨年末に開かれた朝鮮労働党中央委員会第8期第4回総会で、以前のように制服や学用品を、国の負担で無料で支給することが決められたのだという。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

これを伝えた平安北道(ピョンアンブクト)新義州(シニジュ)の情報筋は、無料での支給が今年4月の新学期から始まると伝えた。今まで教育費の重い負担に苦しんできた親たちは、今回の決定を歓迎している。

一方で、苦い顔をしている人々もいる。

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まずは、市場の学用品売り場の商人や製造業者だ。新学期前の書き入れ時に向けて、品物の製造や仕入れを進めていたからだ。新義州市内の彩霞洞(チェハドン)の学生カバン業者は、既に生地を多く仕入れていたが、今回の決定を聞いて非常に動揺しているとのことだ。また、商人の間では「もはやこの商売ではやっていけない」「商売替えを考えなければならない」との声が上がっているという。

また、制服や学用品の生産を行っている国営工場の幹部も、気苦労が絶えないという。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)清津(チョンジン)の情報筋は、国営工場が道、市、郡の児童、生徒数に合わせて学用品や制服を制作しなければならないが、材料の調達がうまくいかず、今回の決定を貫徹できずに処罰されるのではないかと心配しているというのだ。

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決定は「国の負担で」となっているが、今後、工場が負担せよと言い出しかねない。今までの事例に加え、「自力更生」がお題目のように唱えられている状況であることを考えると、充分にあり得ることだ。

(参考記事:【北朝鮮国民インタビュー】自力更生を叫んでばかりの政府は無能

また、今は歓迎している親たちが激しく失望する事態も考えられる。

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決定を貫徹できなければ処罰されるのは同じである地方政府が、その負担を親に押し付ける可能性もなくはないからだ。国民の懐からなけなしのカネを奪い、それを原資に製造したものを「金正恩総書記からのありがたい贈り物」として配る事例は今までもあった。

(参考記事:北朝鮮、無料教育も今は昔・・・学校設備費用を親に押しつけ