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北朝鮮の社会主義憲法は、70条で職業選択の自由について定めている。

公民は労働に対する権利を有する。労働能力のあるすべての公民は、希望と才能に応じて職業を選択し、安定した職場と労働条件を保証される。公民は能力に応じて働き労働の量と質に応じて分配を受け取る。

だが、現実の北朝鮮は異なる。就職は「配置」と呼ばれ、本人の希望はある程度考慮されるものの、基本的には、上からあてがわれた職場に勤めなければならない。そして、本人の意思を考慮しない最たる形が「集団配置」だ。長期に渡る兵役を終えた兵士が、実家に戻ることを許されず、集団で農村や炭鉱に配置されることを指す。

昨年末に行われた朝鮮労働党中央委員会第8期第4回総会では、多くの時間が農業問題に割かれたが、その影響が現場に出始めている。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

平安北道(ピョンアンブクト)の幹部は、軍当局が、総会での決定事項貫徹のため、農村に対する国を挙げての支援を強化するために、除隊した軍人を農業生産増大を目的に、農村に集団配置する方針を決めたと述べた。

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定州(チョンジュ)市では、今年早々、除隊して実家に戻っていた除隊軍人200人が、市内の協同農場に集団配置された。昨年11月と12月に除隊した軍人は、配置先が決まらずに待機状態にあるが、彼らもすべて農村に送り込まれるとのことだ。

その理由について、当局が農村の生産量減少を労働人口の高齢化にあると見ているためだとこの幹部は説明した。国勢調査の結果は極秘とされているため、実際の人口動態を知る術はないが、貧困から抜け出すために多くの人が農村を後にしていると伝えられている。また、農村に限ったことではないが、少子化も進んでいる。

(参考記事:出稼ぎに出た農民を「強制連行」する北朝鮮の協同農場

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今回の方針が伝わるや、除隊軍人の間では不満が高まり、農村行きから逃れるための動きが起きている。親たちが、コネとカネを使って自分の息子や親戚を集団配置のリストから削除させようとしているのだ。これに対して中央は、たとえ誰であろうとも、党の決定貫徹を妨害する行為は反党行為とみなす厳罰に処すとの警告を発している。

また、昨今の取り締まりの強化で、以前と比べて贈収賄が難しくなったと伝えられており、多くの人は為す術もなく、農村送りになると思われる。

(参考記事:鉱山・農村への「強制配置」がもたらした北朝鮮軍の腐敗堕落

定州市の場合は、農村とは言えども都市部が近くまだ楽な方と言えよう。一方、両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)市の情報筋が伝えた話によると、市内に未配置のまま残っていた除隊軍人140人が、遠く離れた大紅湍(テホンダン)郡のジャガイモ農場に集団配置された。商売のしやすい都市部から遠く離れており、生活は苦しいものになるだろう。中央は農場に対して、除隊軍人の生活安定のために住居と生活条件を無条件で保証するように指示しており、農場幹部はその準備に追われているとのことだ。

(参考記事:「農村行きは嫌」挙式直前に婚約者に逃げられた北朝鮮青年

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現地の除隊軍人の間では、中央の方針に不満が広がっている。

「10代のまだ幼いころに故郷を離れて、10年もの長い年月を軍隊に捧げたというのに、結局与えられたのは農村集団配置という苦しくて辛い職場だけだった」(情報筋)