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北朝鮮の新年は「堆肥戦闘」で始まる。

かつては世界中どこでも行われていた堆肥(下肥)を使った農業だが、恒久的な肥料不足に苛まれている北朝鮮では、今でも続けられており、新年を迎えると、個人に何百キロもの人糞を集めるようノルマが課される。

北朝鮮北部、両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋は、昨年末に道内の各機関に2022年の主要課題が下されたと伝えた。人糞集めはもちろんのこと、若者から不興を買っている「嘆願事業」も含まれている。

朝鮮労働党両江道委員会(道党)は昨年12月24日、道内のすべての機関、工場、企業所の党と行政組織を通じて、社会主義建設において切実に求められる主要課題を伝えた。道党は、国家経済発展5カ年計画の2年目となる今年、農村や炭鉱など社会主義建設の苦しい前線において労働力が絶対的に足りていない問題を至急解決しなければならないと指摘。

これに伴い、新年戦闘の開始を知らせる1月の戦闘計画において農村、炭鉱に進出するリストを早期に作成、報告せよとの指示も下された。つまり、誰も行きたがらない農村、炭鉱に都市部の若者を働き手として「嘆願」の形で送り込む事業が2年目に突入したということだ。

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道党は、「革命先烈の足跡が残り、首領様(金日成主席)の領導業績の多い革命の生地である白頭山地区らしく、嘆願暴風隊伍から落伍者が出ないように、対象者に対する個別面談、組織的検討も急ぐべきだ」と指摘した。

農村や炭鉱は、刑罰としての追放(流刑)の行き先として使われるほど生活環境が劣悪で、対象に選ばれた若者は様々な手を尽くして逃れようとする。また、送り込まれた若者も現地でトラブルを起こすなど、評判のあまり良くない事業だが、朝鮮労働党機関紙・労働新聞は先月21日、「われわれの時代の青春たちの崇高な精神世界の発言」などと、嘆願事業を持ち上げている。

(参考記事:各地でトラブル続発、北朝鮮の農村「嘆願」事業

道党も若者の不満を意識したのか、農村、炭鉱に向かう若者が増えるように、生活環境を向上させ、不満を解決し、現場で不満が生じないようにせよと強調した。ただ、道党が若者の面倒を見るというのではなく、現場に丸投げした形だ。

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また、農村、炭鉱が住みやすいところだという認識を若者たちに吹き込み、多くの都市部の若者や幹部が支援して苦しいところに向かうように道を開くべきだとも述べたが、そんな嘘に騙される若者はそういないだろう。結局は、半ば強いられる形で向かうことになるものと思われる。

(参考記事:「自発的農村行き」を強制し若者からそっぽを向かれる北朝鮮

指示は、年初の恒例行事である「堆肥戦闘」にも及んだ。1月の3日、4日の2日間、道内のすべての住民が人民委員会(市役所)が割り当てた担当区域の協同農場と副業農場(非農業機関が運営する農場)に堆肥を運べるように、あらかじめ準備せよというものだ。

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また、道内の党、人民委員会のイルクン(幹部)が党中央に対する高い忠誠心をベースにして、先頭に立って堆肥計画を遂行すべきだとも指摘し、この2大課題が達成できない場合には、厳しく追及するとの警告も付け加えられた。

今のところ、嘆願事業と堆肥戦闘を巡る現地の状況は伝えられていない。

(参考記事:亡命兵士の腸を寄生虫だらけにした北朝鮮「堆肥戦闘」という名の地獄