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除隊軍官とは、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)を退役した軍官(将校)のことを指す。社会的に地位が高く、福祉面でも優遇され、誰もが羨む暮らしをしていたはずだった。そんな除隊軍官の一家が、餓死寸前になって発見されたという。一体何が起きたのだろうか。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋によると、会寧(フェリョン)に住むチェさんは、10年にわたって江原道(カンウォンド)の軍事境界線付近で軍官として勤務し、2017年に退役した。その後は妻、2人の子どもと共に故郷の会寧に戻り、元手のあまりかからない、酒や食品を路上で売る商売で生計を立てていた。

かつてなら、国からの配給で安定した暮らしを営めていたはずだが、福祉システムが崩壊した今では商売をしなければ生きていけないのだ。

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ところがここ最近、当局は市場外の路上で商売をする「イナゴ商人」に対する取り締まりを強化している。チェさん一家は、路上で店を開いても、安全部(警察署)と糾察隊(取り締まり班)がすぐにやってきて、まともに商売ができる状況ではなくなってしまい、食べていくのに必要な収入が確保できなくなった。

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先月は、できたてのドーナツを売ろうと油とコンロを持って路上に通っていたが、取り締まりがあまりにも頻繁で、ほとんど無収入に終わってしまった。最近は、自宅でドーナツを作って路上で売っていたが、売れ行きは芳しくなく、赤字続きだった。

まともな食事にありつけなくなった一家は、暖房もされていない家でついに倒れてしまったのだった。だが、そこに救いの手が差し伸べられた。人民班(町内会)だ。

一家が倒れているのを、人民班長が発見。すぐに会議を開いて、「どの家もできる限り助けてあげよう、コメ100グラムでも構わない、トウモロコシなど食べ物ならなんでもいい」と住民に呼びかけた。その結果、コメ1.5キロ、トウモロコシ2キロ、トウモロコシ麺1キロが集まり、チェさん一家に届けられた。一家はこの食糧で食いつないでいるとのことだ。

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施しを与える側にいたはずの除隊軍人が、逆に施しを受けてかろうじて延命するという悲惨な状況に陥っているのだ。同様の話は今回だけにとどまらない。

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