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北朝鮮で1979年から2002年まで使われていた「ウェファワ・パックン・トンピョ」(外貨と替えた金券)。外貨を両替する際に北朝鮮ウォンの代わりに渡された外貨兌換券で、北朝鮮ウォンと同じ価値を持つとされていたが、実際は額面の数十倍で取り引きされていた。

これと似た名前の「トンピョ」が今年になってから再び発行されたが、価値は額面の半分程度で取り引きされている。一体何が起きているのか、平壌のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

(参考記事:北朝鮮が一度失敗した「外貨兌換券」制度復活へ

平壌市の西城(ソソン)区域のある市場で、企業所財政課の職員が闇両替商にトンピョを差し出して外貨に両替して欲しいと頼んだが、拒否されてしまったという。結局、額面5000北朝鮮ウォンの半額を現金で受け取ったものの、通報を受けた安全員(警察官)に連行された。

このようにトンピョを額面の半分から3分の2程度の扱いをしたり、そもそも貨幣として認識せず受け取ろうとしなかったりする商人や国営の商店が続出している。

北朝鮮政府はこのような状況に対応するために今月16日、「トンピョ流通正常化連合指揮部」を結成し、各道ごとにグルパ(取り締まり班)も設置した。グルパのメンバーは、道党(朝鮮労働党の各道の委員会)、道人民委員会(道庁)通貨課、安全部(警察)、保衛部(秘密警察)、検察の幹部からなる。

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彼らは、トンピョの流通が行われる現場を回り、受け取りを拒否したり、額面より低く扱ったり、トンピョに関するデマを流したりしたしたケースを摘発する。同時に、「使用を強制するよりも、教育が優先して行われるべき」という党の指示に基づき、認識改善教育にも重点を置いて活動する方針で、既に関連の政治学習資料を配布している。

これは「違反者を逮捕して見せしめとして重罪に処す」という北朝鮮お得意の手法を使うと、自発的な使用に導くのが困難だからだろうと、情報筋は見ている。

国から予算を現金ではなくトンピョで受け取った各企業所の財政課は、すぐに北朝鮮ウォンや外貨に両替したり、銀行に入金したりして、早く使い切ろうとしている。信用がなく、政策次第では紙くずになりかねないため、手元に長く置いておこうとしないのだ。

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(参考記事:【北朝鮮幹部インタビュー】最近発行された「トンピョ」の正体は?

今回のトンピョだが、今年上半期に発行されたものの、発行中止に追い込まれた「公債」と同様の役割を担っているようだ。いずれも目的は、国内で流通する外貨を回収し国庫に納めることだが、トンピョが信用を得られるかは不透明だ。

(参考記事:北朝鮮、財政難打開の秘策「公債発行」が中断