北朝鮮で、有罪判決を受けて教化所(刑務所)に護送中だった被告人2人が、逃走する事件が起きた。当局は怒り心頭で、もし逮捕されれば処刑は免れないと見られる。
咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋によると、この2人は今年3月、中国キャリアの携帯電話を使用した非社会主義行為の容疑で逮捕され、数ヶ月の予審(起訴前の証拠固めの段階)を経て、13年の労働教化刑(懲役刑)の判決を受けた。2人は裁判官に「判決が重すぎる」と訴えた。
かつてならワイロでもみ消せる程度のものだった違法な携帯電話の使用だが、取り締まりの強化により逮捕者が続出。中には極刑に処せられる者もいる状況だ。
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2人は、咸鏡南道(ハムギョンナムド)の咸興(ハムン)教化所に収監されることになり、護送されていたが、その列車の中でも戒護員(看守)に、こんな不満を述べ続けていたという。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面「人身売買をしたわけでも、麻薬の密売をしたわけでもない。国境で中国の携帯電話を使ってちょっと密輸を使用しただけなのに、なぜこんなに重い罪にされるのか」
「(送金ブローカーらほど)いい暮らしをしていたわけではない。多くの罪を犯して大儲けした連中からはワイロを受け取って生かしてやり、自分たちのような者には重罰を下す」
列車が吉州(キルチュ)駅で、機関車の付替えでしばらく停車している間に、2人はトイレに行くと告げた。そしてトイレから出てきた瞬間に、戒護員に頭突きをして、鍵を奪って手錠を外し、列車の窓から逃走した。
事件の報告を受けた当局は、司法機関と、全国の反社会主義・非社会主義連合指揮部、留置場にいるすべての容疑者に対して、このことを知らせると同時に、2人を必ずや見つけ出して、国の法律を馬鹿にする者がいかなる裁きを受けるか見せつけろと指示を下した。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面咸鏡北道の安全局(警察)、保衛局(秘密警察)などは24時間体制で逮捕作戦に乗り出し、国境警備を行っている国境警備隊や朝鮮人民軍(北朝鮮軍)暴風部隊、一般国民まで、2人の人相着衣を知らせ、通報を促している。
また、もし国境を超えて脱北することなどあれば、担当者を勤務怠慢で非常防疫法に則り厳罰に処すと警告した。一方で、逮捕に貢献した者には、昇給と表彰を行うともしている。
2人が最も近い脱北ルートを選んだとしても、国境まで150キロは離れている。コロナ禍で国内の移動統制が強化されている中、それだけの長距離を移動するのは至難の業だ。その一方で、もし逮捕された場合、死罪は免れないことは明白で、どんな手段を使ってでも脱北しようと考えるだろう。
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