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5万人――これは中国のデイリーNK情報筋が明らかにした、現在中国で働いている北朝鮮労働者の数だ。国連安全保障理事会の制裁で禁じられているにも関わらず、中国やロシアには数多くの労働者が送り出され、コロナ対策として帰国が認められていないため、これだけの数に達したのだ。

北朝鮮への玄関口である丹東を含めた遼寧省に3万人、隣接する吉林省には2万人ほどがいる。黒龍江省などそれ以外の地域にもいることを考えると、実際には5万人を超えるものと思われるが、滞在が長期化するにつれ、管理が難しくなり、多くを遼寧省と吉林省に移動させたと伝えられている。この2つの省には以前から北朝鮮国民が多く、大規模な人員を効率的に統制しやすい。

統制強化は、勤め先を逃げ出し脱北する者が目に見えて増加していることが背景にあると思われる。先月、遼寧省の瀋陽では労働者が逃げ出す事件が起きている。中には集団で姿をくらましたり、労働者を管理する立場の幹部が行方不明になったりする事件も起きている。

そんな中、北京駐在の北朝鮮大使館は、各地域の領事館に労働者の短距離移動と他地域への派遣を禁止するとの指示を下した。

北朝鮮労働者を雇用していた中国企業の中には、コロナ禍の不況のダメージを受けている企業も少なくなく、業種を変更したり他地域に工場を移転させたりするケースもある。北朝鮮当局はそのようなケースも含め、「いかなる状況でも労働者を任意で移動させるな」と命令した。分散すればするほど管理が難しくなるからだろう。

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しかし、命令は現実に即しておらず、労働者も幹部も困惑している。働いていたレストランが不況で閉店し、別のところに働きに行かせるケースが多かったからだ。労働者を管理している幹部は次のように明かした。

「他の地域に労働者を送れなくなり、私も逃げたくなった。上納すべき党資金は減らしてくれないのに、カネを稼げなくされたので、生き残るにhあこんな状況から抜け出すしかないではないか」

要求される上納金の額は決して少なくなく、労働者が法律無視の長時間の重労働を行ったり、複数の職場を掛け持ちしたりしてようやく達成できるものだったのだが、それさえもできなくなってしまった。国家の要求どおりに上納金を納められなければ、幹部は処罰を受ける。2つの相反する命令が、幹部の脱北を煽っている形だ。

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(参考記事:中国企業の制裁破りの長時間労働で北朝鮮労働者が死亡

北朝鮮は、中国以外にもロシアやモンゴルに相当数の労働者を送り込んでいるが、いずれの経済状況もコロナ禍で不安定だ。だからといって帰国することも、上納金の減額も許されていないのだ。

(参考記事:北朝鮮、モンゴルへの労働者派遣を再開…国連制裁に違反