北朝鮮有数の商業都市「行き過ぎ」新型コロナ対策で危機的状況

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北朝鮮の警察庁に当たる社会安全省が、新型コロナウイルス対策として、国境線及びそこから1〜2キロの緩衝地帯に許可なく接近すれば無条件で銃撃するとの布告「北部国境封鎖作戦を阻害する行為をしないことについて」を出したのは昨年8月。

それ以降、密輸、脱北、密入国を試みる者はもちろんのこと、そうとは認識できずに川に近づいてしまった障害のある女性、人間の定めた国境など気にせずに行き交う野生動物などが、次々に犠牲になっている。釣り、水汲み、洗濯などで生活と密着していた国境の川が、近づけば殺される恐怖の場所と化してしまったのだ。

(参考記事:北朝鮮国民が目を背ける「見せしめ射殺体」の衝撃の現場

国境沿いに住む地域住民を悩ませるのはそれだけではない。夜間通行禁止令だ。5月から9月までは20時から翌朝5時まで、10月から4月までは18時から翌朝7時までだが、10月に入って規定通りに、適用時間が2時間早められた。現地の状況を、両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

直撃を受けたのは市場だ。道内の恵山(ヘサン)では、市場の営業時間が16時から18時だったのが、先月13日から15時から19時までに延長された。営業時間の延長は、儲けの増大に繋がるため、喜びを持って受け止められたが、これが1ヶ月も経たずに、夜間通行禁止令のせいで短縮されることになってしまったのだ。破れば、労働鍛錬刑(懲役刑)1ヶ月の処分を受ける。

(参考記事:北朝鮮で夜間通行禁止令、違反者は刑務所送り

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店を畳んで18時までに帰宅しなければならないため、営業時間も14時から17時までに変更され、1時間減ってしまった。せっかく増えていた客も、今回の措置でまた減ってしまい、商人たちはため息をついているという。

「(コロナ対策の)国境封鎖が長期化して、市場は事実上マヒ状態同然だが、営業時間を短縮すれば住民はさらに大きな経済的打撃を受けるだろう」(情報筋)

(参考記事:市場の営業時間延長で喜びの声を上げる北朝鮮の庶民

情報筋は、コロナ対策が住民統制に利用されていると見ている。

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密輸、脱北で賑わってきた地域経済のあり方を、政府は根本から変えようとしているのだろうが、もしそんな政策が続くとすれば、鉱山、林業を除けば他にこれといった産業もなく、政府からの支援もないことから、北朝鮮でも有数の貿易都市だった恵山は、今後衰退の道をたどるだろう。