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現在、韓国で暮らす脱北者は3万人あまり。だが、脱北者はほかにもいる。

欧米諸国に難民として受け入れられた者もいれば、ロシアの派遣先から逃げ出し、働きながら各地を転々とする者もいる。さらには、人身売買の犠牲となり、中国人男性と望まぬ結婚を強いられ、家庭を持つに至った者もいる。その総数は定かでないが、数万人とも数十万人とも言われている。

運良く家族全員で脱北できた者もいるが、多くは家族を北朝鮮に残したままだ。北朝鮮当局は、彼らに対する監視を行ってきたが、金正恩総書記の方針に基づき、それをさらに強化すると、デイリーNKの内部情報筋が伝えた。

国家保衛省(秘密警察)は道、市・郡、洞・里を管轄する保衛員に、脱北者家族を分類した上で管理してきたが、今月11日に下された「1号方針」(金正恩氏の下した方針」は、それをさらに細分化するものだ。

今回下された、非法越境者(脱北者)、海外亡命者、北朝鮮では脱北の疑いがあるとみなされる行方不明者とその直系家族に対する「革命群衆管理原則」は、脱北者やその疑いのあるものに対する身元照会の更新期間を4年から2年に短縮、従来の人民班(町内会)、職場、青年同盟、女性同盟などの組織に送り込んだ情報員(スパイ)を通じた3重の監視に加え、すべての通信の盗聴の義務化、移動時の保衛部長への報告と移動許可の義務化までを含め、「5重の監視」を行うというものだ。

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さらに、反党的・反国家的陰謀や、脱北の意図を把握して通報した家族を表彰し、賞金を与えるという、「家庭内での密告」までもが奨励されることとなった。

より細かい監視を行うために情報員の数を拡充し、より迅速に報告するシステムを整える。また、平壌市民の場合、海外にいる家族と一回でも通話すれば奥地の農村に追放するなどの過酷な処罰も復活させるようだ。

(参考記事:北朝鮮が脱北者家族の「山奥への追放」を中止

脱北者家族に対しては、ムチばかりではなくアメも与えるようだ。

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「非法越境者、越南、行方不明、海外逃走した人の家族でも党に従えば、党は最後まで赤い旗に包み込み永遠に面倒を見ると組織(を通じて)や個別に教養(教育)している」(情報筋)

また、当局に対する貢献度が高ければ、社会的な地位の再評価を行うとも宣伝し、忠誠を引き出そうとしている。例えば、海外に行った家族を「帰国すれば許してもらえる」などと説得させる、といったことだ。また、家族から連絡がくれば報告するよう義務付け、現状を詳細に知らせれば20万北朝鮮ウォン(約4600円)のの賞金を与えるとのことだ。

情報筋は、監視強化に対する脱北者家族の反応は伝えていないが、「痛みを伴う」ものであることには違いない。

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国境に近い地域では、脱北して韓国や中国などに住む家族からの外貨送金が、ブローカーを通じて残された家族のもとに届けられてきた。流れ込んだ資金は、ブローカーの手数料と保衛部のワイロが差し引かれた後、ビジネスの資金として活用され、北朝鮮の市場経済化を下支えしている。

(参考記事:脱北者の送金が支える北朝鮮経済

脱北者家族の監視強化、中国キャリアの携帯電話ユーザーと送金ブローカーに対する取り締まり強化は、その流れを断ち切ることになる。当局は現実がどうであれ、これらすべての違法行為を根絶やしにすることで、法治主義に基づく「普通の国」を目指すと同時に、資金は当局の管理下にある貿易で平壌を経て地方に分配されるという形で、民間に奪われてしまっていた経済の主導権を取り戻そうとしているのだろう。

だが、密輸や海外送金で潤い、北朝鮮国内では豊かだった国境沿いの地域の人々が、貧しい辺境に叩き落されようとしていることを座視するのか、何らかの手法で骨抜きを図るのか、さらなる強硬手段に出るのか、今の段階ではわからない。

(参考記事:「どうやって食えというのか」北朝鮮で集団抗議活動、当局緊迫

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