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北朝鮮で経済難により社会的混乱に陥ると増加するのが、国営の企業、企業所に割り当てられた原材料を盗んで売り飛ばす現象だ。刑法に国家財産の窃盗、横領、搾取などの行為を取り締まる条文が8つもあることは、そんな状況の反映と言えよう。

昨年1月からのコロナ鎖国で「第2の苦難の行軍」とも呼ばれるほどの経済難に直面している今、国家財産の盗難事件が相次いでいると、平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

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事件が起きたのは、道内の平城(ピョンソン)市内にある内閣の採取鉱業省傘下の大同江蓄電池工場の分工場で、自動車用再生バッテリー30個が盗まれた。犯人は、バールを利用して倉庫の鍵を破壊し、中にあったバッテリーを盗み出したようだと情報筋は伝えた。

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平城市安全部(警察署)は捜査に乗り出したが、有力な容疑者として目をつけているのは、担ぎ屋とコチェビ(ストリート・チルドレン)たちだ。

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国内有数の規模を誇る平城の市場で下働きをして生きてきたが、昨今の経済難で仕事にあぶれ、ブラブラしていたという。ただし、彼らが関与したことを示す証拠は発見されていない。「あいつらならやりかねない」という先入観に基づいた見込み捜査に過ぎないということだ。

一方、平安南道鉱業管理局の物資管理所からは、猛毒のシアン化ナトリウム80キロの入ったドラム缶が盗まれる事件が起きた。安全部は、市内で化学物質を輸入、販売している事業所を対象に集中的な検閲(監査)を行っている。

金鉱石の精錬、めっき、農薬や医薬品の原料として使われるこの物質だが、キジなどの鳥の密猟にも使われる。水や酸素と触れると致命的なシアン化水素が発生する可能性があり、市民は不安におののいている。この物質は、2015年に中国の天津で発生し、165人が犠牲となった大爆発事故の原因となった。

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このまま犯人を捕まえられず、大量のシアン化ナトリウムが劣悪な管理に置かれた状況が続くならば、それが原因となって火災や爆発事故が発生することも懸念される。

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