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中国の東北3省のひとつ、遼寧省はもともと雨の少ない地域だ。しかし、世界各地で異常気象が観測されている中で、大雨が降り続いている。

7月中旬から断続的に大雨が降り、同29日から今月2日にかけては、台風6号(インファ)の影響で、省内各地で大雨が降っている。また、5日にも24時間で50ミリから70ミリの大雨が降るとの予報されている。

遼寧省の対岸にある北朝鮮の新義州(シニジュ)と龍川(リョンチョン)でも、大雨が降り、被害が発生していると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じている。

丹東の中国朝鮮族情報筋は、新義州在住の知人から携帯メールで得た情報として、今月2日夜から降り出した大雨で、市内全体が浸水した。さらなる大雨に備えて、平安北道(ピョンアンブクト)の朝鮮労働党委員会は非常退避待機令を下し、市民が不安に震えていると伝えた。

(参考記事:「あんた達のせいで皆死んだ」住民見殺しで金正恩体制の権威失墜

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市内の各人民班(町内会)は、住民を集め、サイレンが鳴ればすぐに山や高いところに避難するように指示が下された。ただ、新義州周辺は平野地帯で、非難に適した高さのあr場所は遠く離れている。市民は、実際に避難命令が下されても、どこに避難すればよいのかわからないと不安がり、「国が用意した避難所は山だけか」と非難の声を上げているという。

新義州の別の情報筋は、2日の午前9時から5時間に渡って降ったゲリラ豪雨により、市内の至るところが浸水。交通が遮断され、3日午後から電気の供給が止まったと伝えた。ただ、実際に降った雨の量はさほど多くなかったようだ。

「昨日(2日)一日に降った雨の量は、大雨と言うほど多くはなかったが、排水施設が整備されておらず、河川が氾濫し、家が水に浸かった」(情報筋)

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北朝鮮ではここ数年、毎年のように台風などの自然災害が繰り返されているが、人災の側面が大きい。韓国や中国では被害が抑えられているのに、北朝鮮だけが甚大な被害を受ける例が見られるのは、当局が防災インフラの整備を怠っていることが一因だ。

(参考記事:【北朝鮮国民インタビュー】台風13号上陸で被害続出も国からの支援は皆無

今後も大雨が続くことが予報されているが、郊外の龍川、白馬(ペンマ)などは低地帯で、市内よりさらに状況がひどいと情報筋は伝えている。

市民からは「山に逃げられたとしても、何を食べて生き残ればよいのか」という声も上がっている。北朝鮮では、コロナ鎖国による食糧難で、食糧が底をついた「絶糧世帯」が続出しており、そもそも避難時に持って逃げる食べ物すらないという人も少なくないだろう。また、当局からの食糧支援も期待できない。

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今まで北朝鮮では、災害が起きる度に、国境警備の監視が緩んだすきをついて脱北する人が急増する事態が繰り返されてきたが、今回も同じようなことが起きないとは言えないだろう。

(参考記事:北朝鮮、超貧困の「絶糧世帯」に軍用食糧を配給