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北朝鮮庶民を苦しめていた穀物価格の高騰が収まりつつある。

両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋は、今月8日に恵山(ヘサン)市民にコメが有償で配給されと伝えた。1キロ当たり4000北朝鮮ウォン(約80円)という、市場の価格と比べかなりの安値で5日分が支給されたという。

この影響か、先月末には1キロ7000北朝鮮ウォン(約140円)だったコメの価格が、今月12日は5500北朝鮮ウォン(約110円)、1キロ4000北朝鮮ウォンだったトウモロコシが3300北朝鮮ウォン(約66円)まで下落した。

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また、恵山に先立つこと2日、首都・平壌でもコメの配給が行われたが、恵山とは異なり、市場でのコメ、トウモロコシ価格には変化がないという。これは、当局による配給が長続きしないと見たトンジュ(金主、新興富裕層)やコメ商人が、在庫を売り惜しみしているためと思われる。

今回のコメの配給だが、戦時予備物資が備蓄されている2号倉庫を開き、全国の住民に食糧を供給せよとした金正恩総書記の特別命令書が関係しているものと思われる。トンジュやコメ商人は国内外からの情報でそれを知り、国の備蓄に限界があると判断していることが考えられる。

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食糧事情の悪化は、世論の悪化に直結する。金正恩氏は食糧難を率直に認め、食糧配給に力を入れることで、人心をつなぎとめたいのだろう。

日々の糧の調達に東奔西走している北朝鮮庶民にとっては恵みの雨となったが、北東部の咸鏡北道(ハムギョンブクト)や、比較的温暖な穀倉地帯の黄海南道(ファンヘナムド)で、幹部連中が食糧難を巡って「ああでもない、こうでもない」と意味のない会議を繰り返しているのを見ると、元の木阿弥となるのは時間の問題かもしれない。

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