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北朝鮮の教育では、以前から不正行為が繰り返されている。過度な教育熱が根本にあるのではないかと言われているが、数年前には、最高学府の金日成総合大学では、入試の本試験の問題流出事件が発生した。

北朝鮮では、日本のセンター試験に相当する予備試験が存在するが、それよりも二次試験にあたる大学ごとの本試験の方が重く見られる。合格には、大学が設定した基準点を本試験で超えなければならない。

金日成総合大学の場合、学部ごとに基準点が異なる。例えば、35点満点の法学部の基準点は22点だが、競争率が低い原子力学部の基準点は14点だ。したがって、本試験の点数が高ければ良い学部に入学できる機会が与えられる。

金日成総合大学の本試験は、3月初めに行われる他の大学と違い、2月初めに行われる。対象は、高等中学校(高校)を卒業して浪人せずに大学に入る学生に限られている。結果は2月末ごろに発表されるが、不合格となった受験生は金策工業総合大学、平壌医学大学などの一流大学を除く、軽工業大学、印刷工業大学、機械大学などの大学に再度出願できる。

金日成総合大学の本試験は、受験生を大学の体育館に集めて、教授が直々、試験監督を務める。カメラまで使って不正行為を見張る。また、試験用紙は他の大学に移されて厳格な監視の下で採点する。

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したがって、試験を受けた後に点数を操作することは容易ではない。中央党(朝鮮労働党中央委員会)の幹部の子どもの場合、試験の成績が悪くても、「追加入学」という制度を使って無理やり一流大学にねじ込むことができるが、一般人には到底不可能な荒業だ。

北朝鮮の親たちは、子どもの志望する大学に入れるため、ありとあらゆる手段を講じる。こうした親の心理を利用して、金儲けしようとする人が現われるものだが、数年前には金日成総合大学で試験問題の流出事件が起こった。

2003年2月初めのある日。金日成総合大学の正門付近は、本試験開始の1時間も前から受験生と親たちでごった返していた。そこにやってきたのは「ブローカー」だ。彼らは、試験問題を100ドルで販売したのだ。

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その光景は、多くの人々に目撃されていたが、ブローカーが販売した問題が本物であることが判明し、親たちは集団で抗議した。政府は、真相究明に乗り出した。

その結果、内閣の教育省から試験問題が流出したことが確認された。教育省で働くタイピストが、金日成総合大学の試験問題をまとめつつ、そのコピーを流出させ、5〜600ドルで販売した。買った親は、それを子どもに使わせた上で、別の受験生の親に100ドルで転売したのだった。

事態を受けて、再試験を行うべきだとの主張がなされたが、結局は流出した試験問題を見た受験生を不合格処理することで、事の収拾を図った。また、問題を流出させたTypistには実刑判決が下され、問題を購入、転売した親たちは、地方に追放される処分を受けた。

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不正腐敗がはびこる北朝鮮だが、その中でも教育現場は特にひどい。どんな手を使ってでも、子どもをいい学校に入れたいという親心のなせる技だ。