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北朝鮮の東海岸、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の清津(チョンジン)にある清津金属鉱山大学。その名の通り、金属工業や鉱業に携わる人材を育成する教育機関で、燃料が不足する中、比較的少量の原料と燃料(コークス)で生産できるという「チュチェ(主体)鉄」の研究にも関わっている。

さて、北朝鮮の大学では今年2月、全国一斉に学期末試験が行われ、3月27日に地域別の平均点数が発表された。1位は当然のことながら、金日成総合大学など一流大学を復数擁する首都・平壌で、以下は慈江道(チャガンド)、咸鏡南道(ハムギョンナムド)、黄海北道(ファンヘブクト)、咸鏡北道の順となり、最下位は経済特区のある羅先(ラソン)市だった。

地域別のランキング発表は今年初めて行われた。科目毎に5点満点で、最高でも1.2点、最低は0.8点と、学生のレベルが前年よりさらに下がり、全体的な低下が顕著になったことから、高等教育相に就任したリ・グクチョル金日成総合大学総長が発表を命じたためだ。

この結果に基づき、成績の低かった道の教育課長、市や郡で最下位となった学校の校長が解任された。

(参考記事:北朝鮮版「全国学力テスト」ランキング… 最下位にはペナルティ

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さて、全国13の道や特別市のうち7位にランクインした咸鏡北道だが、清津金属鉱山大学では学生の全国学期末試験の受験率が5割程度しかなかったことが、高等教育省が学期末試験の総和(総括)を行う過程で明らかになり、4月中旬からオンラインでの検閲(監査)を受けた。

実は昨年、コロナ禍で休校が相次ぎ、定められた教育課程をすべてこなすことができなかったため、補講などを行い穴埋めをしていたのだが、大学の党委員会や教務部は、春先の農村動員期間の前に、前年の分まですべて履修させると報告していた。

(参考記事:北朝鮮、コロナ休校が5度目の延期で混乱

検閲の対象には、大学や大学内の党委員会のみならず、咸鏡北道教育局、清津市教育部など監督機関も対含まれている。結果は明らかになっていないが、大学の党委員会の責任書記や教務部のトップなどが責任を負わされたものと思われる。

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これに対して高等教育省は、具体的にどのように進めるのか履修計画表を週、月単位で作成して提出せよとの指示を下した。

そもそも、履修が遅れたのはコロナ対策の休校のせいだ。その穴を埋めるためのリモート教育を進めるために、昨年4月の最高人民会議第14期第3回会議で採択された遠隔教育法に基づき、リモート教育推進のための非常設委員会も立ち上げられた。だが、その委員長が処刑されるなど、権力闘争の道具となっている感が否めない。

今回の清津金属工業大学に対する検閲や、予想される処分も、平壌でのゴタゴタの責任が地方の大学に押し付けられたものといっても過言ではないだろう。

(参考記事:北朝鮮のマジメすぎる教育者「頭の使い方を間違えて」処刑