新型コロナウイルスの国内流入を、極端なほどに恐れる北朝鮮。国境を守る兵士には、人はもちろん野生動物であっても「国境を侵犯する者は銃撃せよ」との命令を下し、密輸や脱北、密入国が確認されれば、有無を言わさずに当該地域に封鎖令(ロックダウン)を下す。
封鎖令が敷かれると、長期に渡り外出が禁じられる。その間の食べ物をあらかじめ調達できなかった人々が、餓死する例すら相次いでおり、地域住民の不満は高まる一方だ。そのためかここ数ヶ月、発令は伝えられていなかったが、先月24日から中国に接する地域に封鎖令が下されたと現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。
(参考記事:「このままでは全住民が死ぬ」北朝鮮都市 ”コロナ対策” が崩壊)
ロックダウンされたのは、両江道(リャンガンド)普天(ポチョン)郡。当局は地域住民に対し、野生動物の死骸を発見したら、人民班長(町内会長)と地域担当の保衛指導員(秘密警察)を通じて非常防疫指揮部に報告させてきたが。そして同郡で「ツバメ3羽が死んでいる」との通報があったことを受けて、封鎖令が下された。
ただその内容は、従来の封鎖令とはかなり異なっているようだ。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面両江道の道庁所在地の恵山(ヘサン)に対しては、昨年8月、11月、今年1月、3月の4回に渡って封鎖令が下されている。初回は1ヶ月もの間、一切の外出を禁じるというものだったが、上述のように餓死者が続出した。住民の不満の高まりを受けて、地元当局までが中央の封鎖令実施に反発するようになり、4回目はわずか1日で解除された。
また、平安北道(ピョンアンブクト)の朔州(サクチュ)郡では、住民の多くが郡境の外に畑を持っていることから、当局が移動を厳しく制限せず、なし崩し的にロックダウンが終了してしまった。
その反省からか、今回は郡全体ではなく、ツバメの死骸が発見された樺田里(ファジョンリ)だけに絞られ、期間も7日間と短めに設定されている。なお、外出禁止令の有無について、情報筋は言及していないが、他の条件が緩和されていることを考えると、外出を完全に禁じるのではなく、村の中に限って移動を認めている可能性が考えられる。
(参考記事:ロックダウンわずか1日で解除…北朝鮮「コロナ対策」の朝令暮改)人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面
当局は、動物が国境を行き来してウイルスを持ち込むと考えているようで、野生動物、ペットを問わず「抹殺」するように指示を出している。先月には、ペットの猫を密かに飼っていたことが発覚した一家が、猫を奪われた上で、20日間の隔離施設送りの処分を受けている。
(参考記事:「愛猫を助けたかった」金正恩命令に逆らったある一家の悲劇)